NASにバックアップした写真が元の画質ではない理由
NASにバックアップした写真が元の状態より劣化して見える疑問は、ユーザー様からよく挙がります。その要因はNASの設定だけでなく、バックアップ元のファイル状態にある場合がほとんどです。この構成では、原因を分類し、それぞれに実用的な対策を記します。
知見:
- NASにバックアップした写真の画質劣化は、転送元のモバイルデバイスがオリジナルファイルではなく最適化されたバージョンを保存していることが主原因です——iOSでは「iPhoneのストレージを最適化」、Androidでは「高品質画像」設定を「オリジナルダウンロード」に変更することで解決できます。
- NAS上で表示される画像が実際の写真ファイルではなく、プレビュー用に生成された低解像度のサムネイルである場合があります——ファイル名、解像度、ファイルサイズを確認し、オリジナルファイルを直接参照する必要があります。
- 写真ファイルが保存時に自動的に形式変換(HEIC→JPEGなど)または再エンコードされることで画質が低下することがあります——NASや関連アプリの設定で「ファイル形式の変換」を無効にし、オリジナル形式を維持することが重要です。
- ネットワーク転送中のファイル破損や転送ミスにより、画像データが部分的に欠損するリスクがあります——有線LANまたは安定したWi-Fi環境での転送を推奨し、転送後の整合性チェック機能を活用すべきです。
- 同一ファイル名の写真が複数デバイスからアップロードされると、意図しないファイル上書きが発生することがあります——日付・時刻・機器名を含む一意の命名規則の採用と、NASのバージョン管理機能の活用で防止できます。
モバイルデバイス側にある"すでに劣化したファイル"がバックアップされている
NASに保存された写真の画質が悪いと感じるとき、まず確認すべきは転送先ではなく転送元の状態です。とくにスマートフォンを使っている場合、端末に残っている画像が"オリジナル"ではないケースが増えています。
こうした劣化は見た目では気づきにくく、画像を拡大したり印刷したりして初めて発覚する場合があります。特に、日付や場所、人物の記録として大切に残しておきたい写真であれば、取り返しがつかないと感じる方もいるかもしれません。
解決策:オリジナルファイルを明示的に取得してから転送する
iOSユーザー(iPhoneなど):
- スマートフォンで「設定」を開き、「写真」に進みます。
- 「iPhoneのストレージを最適化」を「オリジナルダウンロード」に切り替えます。
- 切り替え後、UGREEN NASのアルバムバックアップタスクを再実行します。
- システムは自動的にiCloudから元画像をダウンロードし、ローカルでバックアップを開始します。
Androidユーザー(Xiaomiなど):
- スマートフォンの「クラウドサービス」で「アルバム」を開きます。
- 「高品質画像をダウンロード」を「オリジナルをダウンロード」に切り替えます。
NASのサムネイル生成画像を閲覧している
NASに保存された写真を確認して、「明らかに粗い」「色が変だ」と感じた場合、それがオリジナルのファイルではなく、サムネイル用に自動生成された画像である可能性があります。
解決策:サムネイルとオリジナルを明確に区別する
誤解を防ぐためには、次のような点に注意してください。
- NAS内で写真を確認する際は、ファイル名、解像度、ファイルサイズの3点を必ずチェックする
- NASのサムネイル保存先が別フォルダになっている場合(例:@eaDir)、その中にある画像は直接使わない
- 写真管理アプリで表示される画像の情報(Exifや解像度)を確認し、オリジナルかどうかを判断する
- サムネイル生成の挙動を変更できる設定があれば、対象フォルダや画質をコントロールする
写真ファイル形式の自動変換・再エンコード
NASに保存した写真が見た目に違って見える原因のひとつに、「ファイル形式の自動変換」や「再エンコード処理」があります。
たとえば、スマートフォンやカメラで撮影した画像がHEICやRAWといった形式だった場合、NASやそのアプリが対応していないと、自動的にJPEGなどに変換されて保存されることがあります。この変換には圧縮処理が伴うため、元の画像に比べて画質が落ちる可能性があります。
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解決策:変換を避ける設定とファイル形式の扱いを見直す
画質を維持したい場合は、変換を避ける構成を意識することが大切です。
- NAS本体やアプリの設定で、「ファイル形式の変換」や「再エンコード」の項目がある場合はオフにする
- HEICやRAWファイルを扱う場合は、事前に対応形式で保存するか、変換せずに保存できる構成を選ぶ
- スマートフォンから直接NASにアップロードする場合、「オリジナル形式で転送」が可能か設定を確認する
- メディアサーバー機能が必要ない場合は無効化する。もしくは変換対象から写真フォルダを除外する
ネットワーク経由の破損・転送ミス
写真をNASに送る際、ネットワークの状態によってファイルが正しく届かないことがあります。これはファイルそのものの画質というより、「正確に届いていない」ことが原因です。破損したファイルは開けなかったり、部分的に欠損していたり、場合によっては画像の一部がノイズのように見えることもあります。
ファイル自体は保存されていても、見た目に異常が出たり、Exif情報が消失していたりすることもあります。画質劣化というより"品質にばらつきが出る"といった状態です。
解決策:安定した通信と整合性の確認
以下の方法で、転送ミスを未然に防ぐことができます。
- 写真の転送は、できるだけ有線LAN環境や安定したWi-Fi環境で行う
- 複数ファイルを一括で送信する際は、途中でエラーが起きても再送される設定になっているかを確認する
- スマートフォンアプリの場合、「転送完了後にオリジナルと照合」機能があるものを選ぶ
- NASのログやエラーレポートを定期的に確認し、破損ファイルが記録されていないかを確認する
- ファイル整合性チェック(たとえばMD5、SHA256などのハッシュ値照合)を行うツールを活用する
ファイル名重複やバージョン上書きによる"別ファイルの混入"
NASに保存した写真を見て、「あれ、これ少し古い写真のはずなのに、内容が違う」と感じたことがあれば、ファイルの上書きが起きているかもしれません。特に、同じ名前のファイルが複数の場所から保存される構成では、意図しない画像への置き換えが静かに発生することがあります。
たとえば、スマートフォンやカメラで撮影された画像には、IMG_0001.JPGやDSC_1234.JPGといった一般的なファイル名が付いています。これらは撮影を繰り返すうちに、自然と再利用される番号になります。その状態で複数のデバイスから同じNASのフォルダにアップロードされると、重複を検知しない設定ではファイルが上書きされます。
深く掘り下げる:UGREEN NAS写真共有の手順。
解決策:重複を防ぐ命名ルールとバージョン管理
このようなトラブルを避けるために、次のような対策が有効です。
- 写真のファイル名に日付・時刻・撮影機器名を自動付与する設定に変更する
例:20240730_153022_iPhone14.jpg、20240730_LumixG85_0001.jpg - 同期アプリや転送ソフトで「重複ファイルはリネームして保存」や「上書きを確認する」設定を選ぶ
- バージョン管理機能を持つNAS(例:Synologyのバージョン履歴、QNAPのスナップショット)を活用し、万が一上書きされた場合にも復元できるようにしておく
- フォルダ構成をデバイスごとに分けて、直接のファイル衝突を避ける
まとめ
写真の品質を保ちたい場合は、「何を、どの状態で、どこから送っているか」を細かく意識することが欠かせません。元のファイルが正しく保存されているか、転送の途中で処理が入っていないか。まずはそこを確認することから始めてみてください。