RAID0の容量効率 vs RAID1の復旧容易性徹底比較
前回の記事ではRAIDの基本概念について解説しましたが、ただ、RAIDにはいくつかの種類があって、それぞれ得意なことが違います。スピード命の「RAID 0」、頑丈さが自慢の「RAID 1」、そして両方のいいとこ取りをした「RAID 10」。どれを選ぶかで、あなたのNASライフが大きく変わります。

重要なポイント:
- RAID0は高速で大容量を活かせるが、冗長性がなく、1台の故障で全データを失うリスクがある構成です。
- RAID1は信頼性が高く、片方のディスクが故障してもデータを保てるが、容量効率や書き込み速度に劣ります。
- 地震リスク下ではRAID1が圧倒的に有利——日本特有の地震環境では複数ディスク同時故障の可能性が高く、RAID0は全データ消失リスクが顕在化。復旧容易性を重視するならRAID1が必須選択です。
- 用途で明確に選択を分岐——速度/容量重視ならRAID0、安全性/信頼性重視ならRAID1。
RAID0とRAID1の基本的な違い
NAS(ネットワーク接続ストレージ)を購入して設定する際、RAID0とRAID1のどちらを選ぶかは重要な決断です。この2つ、名前は似ていますが、目的や特徴が大きく異なります。簡単に言えば、RAID0はスピードと容量を重視し、RAID1はデータの安全性を優先する仕組みです。

RAID0(ストライピング方式)
RAID0は、データを複数のディスクに分割して保存する「ストライピング」という方法を使います。たとえば、2台の2TBディスクを使う場合、合計4TBの容量をフルに活用でき、読み書きの速度も速くなります。動画編集や大容量ゲームのデータを扱う人には魅力的ですね。ただし、欠点として「冗長性がない」ことが挙げられます。つまり、1台でもディスクが故障すると、すべてのデータが失われるリスクがあります。地震が多い日本では、この点が少し心配かもしれません。
RAID1(ミラーリング方式)
一方、RAID1は、同じデータを2台のディスクにコピーして保存する「ミラーリング」を採用しています。たとえば、2TBのディスク2台を使っても、使える容量は2TBだけ。でも、1台が故障してももう1台にデータが残るので、大事な家族写真や仕事のファイルを守りたい人にぴったりです。ただ、容量効率が低く、書き込み速度もRAID0ほど速くない点は覚えておく必要があります。
このように、RAID0は「速さと容量」、RAID1は「安心感」を重視した設計です。リスクが不安なユーザーには、RAID1の安全性が心強いかもしれません。
RAID0は壊れやすい?
RAID0は「壊れやすい」のではなく、故障時の影響が致命的なのです。ハードディスク自体の故障率はRAID構成に関係なく、品質や使用環境に左右されますが、RAID0ではそのリスクがデータ全体に及ぶ点が問題です。信頼性の高いHDDを選ぶための基準を押さえておくことで、そもそもの故障リスクを減らすことができます。特にRAID0のような構成では、HDDの品質がデータ保護の鍵を握ります。

地震による影響
日本は地震大国であり、NASが設置された環境で複数のディスクが同時に故障する可能性があります。たとえば、地震でNASが揺れた際に、ディスクのヘッドがクラッシュするリスクが高まります。RAID0では、1台の故障で全データが失われるため、地震リスクを考慮すると特に注意が必要です。
RAID1の弱点とは?
RAID1は信頼性が高く、初心者にも使いやすいですが、容量効率の低さ、書き込み速度の遅さ、コストの高さ、拡張性の低さが弱点です。日本の地震リスクを考えると、信頼性は魅力だけど、2台同時故障の可能性も頭に入れておく必要があります。使う目的に合わせて、これらのデメリットもしっかり検討してください。
主な弱点
- 容量が1台分しかない: 2台のハードディスクを使っても、実際に使える容量は1台分だけです。たとえば、2TBのディスクを2台使っても、保存できるのは2TBだけ。大量の写真や動画を保存したい場合には、容量が足りなくなるかもしれません。
- 書き込み速度が遅い: データを2台に同時に書き込むため、RAID0のような高速な構成に比べると書き込み速度が遅くなります。動画編集など、スピードが重要な作業には向いていません。
- コストが高い: 2台のディスクが必要なので、1台で済む構成に比べて初期費用や維持費がかかります。予算が限られている場合、ちょっと悩ましいポイントです。
- 容量を増やしにくい: ディスクを追加しても、使える容量は増えません。追加すると冗長性(安全性)が上がるだけなので、「もっと容量が欲しい!」というニーズには応えられません。
復旧の容易さ
NASでRAID構成を使うとき、「もしハードディスクが壊れたら、どうやって直すの?」という疑問が浮かびます。RAID0とRAID1では、復旧のプロセスが大きく異なります。
RAID1
「ミラーリング」と呼ばれる方式で、2台のハードディスクに同じデータを保存します。1台が故障しても、もう1台にデータが残っているため、復旧がとても簡単です。
RAID0
「ストライピング」と呼ばれる方式で、データを複数のハードディスクに分散して保存します。速度は速いものの、1台でも故障するとデータ全体が失われるため、復旧が難しくなります。
地震で複数台が同時に故障するリスクを考えると、RAID0は重要なデータには不向きです。復旧のしやすさを重視するなら、RAID1がおすすめです。シンプルでリスクが少なく、特に初心者や地震対策を考える場合に適しています。