NAS(ネットワーク接続ストレージ)の仕組み
NASは、ネットワーク経由でデータを保存・共有できる便利なツールです。パソコンやスマホから簡単にアクセスでき、家族の写真や仕事のファイルを共有するのに役立ちます。前回の記事では NASとは の基本概念をご紹介しましたが、今回はその仕組みと活用法をさらに詳しく解説します。
この記事では、NASの技術的な特徴(ハードウェアやデータ保護の仕組み)と、日本での具体的な使い方(家庭用、中小企業用、災害対策)を紹介します。また、製品選びのポイントやよくある疑問にもお答えします。

NASを活用すれば、クラウドサービスに依存せず、データを安全に管理できます。ぜひ最後までお読みください。
重要なポイント
- NASの基本概念と利点 – NASはネットワーク経由でデータを保存・共有でき、家庭やオフィスで便利に使えます。クラウドに依存せず、データを安全に管理できる点が魅力です。
- 技術的な仕組み – NASは、ハードウェア(HDD/SSD)、ソフトウェア(プロトコル)、データ保護技術(RAID、スナップショット機能)によって成り立っています。これにより、データの安全性と管理の効率が確保されます。
- 家庭や企業での活用方法 – 家庭では写真や動画の安全な管理、企業では効率的なファイル共有とテレワーク支援が可能です。災害対策にも役立つNASの活用法を知っておきましょう。
- 日本特有の課題と対策 – 日本のインターネット環境や法律、エネルギー問題に対処するため、適切なネットワーク設定やセキュリティ対策、省エネ設計が重要です。
- 製品選びのポイント – 拡張性、互換性、性能、コストのバランスを考慮し、用途に合ったNASを選ぶことが大切です。特に、日本語サポートやセキュリティ機能も重要な要素です。
- NASとクラウドの違い – NASはローカルでデータを管理し、コストを抑えながら長期的な使用が可能。クラウドは便利だが、データ量が増えるとコストが上がり、プライバシー重視のユーザーにはNASが適しています。
NASの動作原理:技術解説
NASの本質は、「一元管理と分散アクセスの両立」 にあります。つまり、データは一箇所(NAS本体)に集中して保存・バックアップ・保護されながらも、ネットワーク上の多数のユーザーやデバイスから、効率的かつ同時並行的にアクセス・利用できる 点が最大の特徴です。この仕組みは、主に以下の3つのコアコンポーネントによって実現されています。
- ハードウェア構成
- ソフトウェアとプロトコル
- データ保護技術
ハードウェア構成
NASデバイスは、本質的に「ストレージ専用に設計された小型専用コンピュータ」です。筐体内部には、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)が1つ以上のドライブベイ(挿入口)に装着されています。これに加え、プロセッサ(CPU)、メモリ(RAM)、そしてネットワークインターフェースカード(NIC)が搭載されています。
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- ドライブベイ数: 家庭向けのシンプルな2ベイモデルから、業務用の8ベイ以上をサポートするモデルまで、機種によって異なります。
- ストレージ構成: これらのドライブは、通常、冗長性と性能最適化のためにRAID(Redundant Array of Independent Disks:独立ディスク冗長アレイ)アレイとして構成されます。
- 処理能力: プロセッサとメモリは、ファイルアクセス要求の処理、バックグラウンドタスクの実行、さらにはメディアストリーミングや仮想化などの追加機能のサポートを担当します。
- 信頼性設計: 冷却システム、電源ユニット、場合によっては冗長化コンポーネント(電源やファンなど)が、個人向けか企業向けかに応じて組み込まれています。
- 外観と実態: ラックや棚に収まるコンパクトな筐体でありながら、その内部では多機能な処理が行われているのです。
ソフトウェアとプロトコル
NASに「知能」を与えるのは、ソフトウェア層です。
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専用OS: 大半のNASシステムは専用のオペレーティングシステム(OS)を動作させており、ストレージ管理、アクセス権限設定、アプリケーションインストールなどを直感的に行えるユーザーフレンドリーな管理インターフェースを提供します。
- 例:UGREEN NASプラットフォーム は豊富な機能を提供し、NASを単なるファイルサーバーの枠を超えた存在にします。
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アクセスプロトコル: UGREEN UGOSシステム をはじめとするNAS OSは、標準的なファイル共有プロトコルをサポートします。
- SMB/CIFS: Windows環境で広く利用。
- NFS: Unix/Linuxシステムで主流。
- その他: FTP、WebDAV、クラウド同期ツールなども一般的です。
- 接続性: これにより、設定次第で、複数のユーザーやデバイスがローカルネットワーク(LAN) またはインターネット経由でNASに接続できます。
- 管理機能: 内蔵のバックアップ管理ツール、共有フォルダ作成、ユーザーロール設定、システムヘルスモニタリング機能なども標準装備されています。
- 拡張性: メールサーバーやDockerコンテナなどの拡張機能もサポート可能です。
NASの最も重要な役割の一つが、データの保護です。
RAID(独立ディスク冗長アレイ)は、複数のディスクにデータを分散して格納し、ハードウェア故障に対する耐性(冗長性)を提供する技術です。
→ RAIDの仕組みと種類を詳しく解説
RAIDの動作例
- RAID 1: 2台のディスクにデータをミラーリング
- RAID 5/6: パリティ(検査データ)を用いた故障許容(1-2台)
多層的なバックアップ機能
冗長性に加えて、NASデバイスは以下のデータ保護機能を提供します:
- コピー:ファイルを他のNASサーバーにコピーする
- クラウドバックアップ:外部クラウドストレージにバックアップする
ユーザー向け活用シナリオ
NAS(Network Attached Storage)は、家庭や企業で多様な活用が可能です。以下に具体的なシナリオを紹介します。
家庭での活用
家族の写真や動画をNASに保存すれば、思い出を安全に管理できます。リビングのテレビで家族と一緒に楽しむことも可能です。スマホの写真を自動バックアップする機能もあり、容量不足を解消します。外出先からでも思い出にアクセスできるので便利です。クラウドと併用すれば、さらに安心感が増します。

企業での活用
テレワークが増える中、NASはファイル共有を効率化します。QuickConnect機能を使えば、VPN不要で安全にアクセスできます。チームでの共同作業がスムーズになります。e-文書法に対応した書類管理も可能です。改ざん防止や長期保存が簡単に行えます。
災害対策での活用
- (注: このセクションの内容は「企業での活用」と重複していますが、原文のまま記載します)
テレワークが増える中、NASはファイル共有を効率化します。QuickConnect機能を使えば、VPN不要で安全にアクセスできます。チームでの共同作業がスムーズになります。e-文書法に対応した書類管理も可能です。改ざん防止や長期保存が簡単に行えます。
日本特有の注意点と解決策
NAS(Network Attached Storage)を日本で導入する際には、いくつかの特有の課題が浮かび上がります。まず、日本のインターネット環境は複雑で、ネットワーク設定が難しい場合があります。たとえば、光回線(フレッツ光)を用いている場合、ポート開放が必要となり、さらにIPv6(v6プラス)への対応が求められることもあります。この課題を解消するには、NASの管理画面からポート開放を設定し、IPv6に対応したモデル、また、ルーターをブリッジモードに設定することで、NASの機能を強化しつつ接続の安定性を高めることもできます。
次に、日本特有の法律や規制への対応も重要なポイントです。個人情報保護法やサイバーセキュリティ基本法に準拠する必要があり、データの扱いには細心の注意が求められます。このため、NASのアクセス権限を厳密に管理し、暗号化機能を有効化してデータを保護することが欠かせません。さらに、定期的にセキュリティチェックを行うことで、法律を遵守しながらデータの安全性を維持できます。
加えて、省エネ対策も見逃せない課題です。日本の電力事情や環境意識の高まりを背景に、NASの消費電力を抑える工夫が求められます。たとえば、SSDを搭載したモデルを選べば、HDDに比べて消費電力が少なくなり、省エネに貢献します。また、アイドル時節電モードを活用することで、電力の無駄を減らすことが可能です。さらに、エコポイントの対象となる機種を選ぶと、購入コストを抑えつつ環境に配慮した運用が実現できます。
製品選びのポイント
NAS(Network Attached Storage)を購入する際には、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。以下では、拡張性、互換性、性能とコストのバランス、サポートとセキュリティの観点から、製品選びの指針を紹介します。
まず、拡張性は、将来的なデータ量の増加に対応できるかどうかを判断する上で欠かせません。家族の写真や動画が増え続ける家庭では、HDDを追加できるモデルや、ベイの拡張が可能な製品を選ぶと安心です。日本の住宅はスペースが限られていることが多いため、コンパクトで拡張性のあるモデルが適しています。例えば、UGREEN DXP2800(2ベイ)からスタートし、家族が増えるのに合わせて買い替えると無駄が少なくて良いでしょう。
次に、互換性も重要な要素です。NASは、家庭内のさまざまなデバイス(PC、スマホ、テレビなど)と連携して使われることが多いため、幅広いOSやプロトコルに対応している必要があります。WindowsやMac、iOS、Androidといった主要なプラットフォームとスムーズに連携できるモデルを選ぶと、家族全員がストレスなく利用できます。日本のテレビブランド(例:Panasonic)とのDLNA連携も確認しておくと、メディアサーバーとしての活用が広がります。
性能とコストのバランスも見逃せません。高性能なNASは魅力的ですが、予算との兼ね合いが重要です。10GbE対応の高速モデルは大容量データの転送に適していますが、家庭用で動画ストリーミングが主な用途であれば、1GbEで十分な場合もあります。中小企業で大規模なファイル共有が必要な場合は、10GbEやSSDキャッシュ対応のモデルを検討する価値があります。自分の使用目的に合った性能を選ぶことで、無駄な出費を抑えつつ、満足のいくパフォーマンスを得られます。
最後に、サポートとセキュリティは、NASを安心して使い続けるために不可欠です。日本語でのサポートが充実しているメーカーを選ぶと、トラブル時にスムーズに対応できます。セキュリティ面では、定期的なファームウェア更新や暗号化機能の有無を確認することが重要です。個人情報や業務データを扱う場合は、セキュリティ機能が充実したモデルを選ぶことで、法律や規制への準拠も容易になります。
よくある質問
NASを使うメリットは何ですか?
NASを使うと、データ共有が簡単になり、バックアップで安心が得られます。メディアサーバーとして活用でき、セキュリティも向上します。たとえば、家族で写真を共有し、テレビで再生可能です。クラウドと異なり月額費用がかからず、データが自宅にある点も魅力です。
詳しくは、こちらから なぜNASを使うべきかを確認する。
NASとクラウドストレージの違いは何ですか?
NASはローカルネットワークでデータを管理します。クラウドストレージはインターネット経由で外部サーバーに保存します。NASは初期費用が必要ですが、長期的にはコストが抑えられます。クラウドは手軽さが特徴ですが、データ量が増えると費用が上がります。プライバシーを重視するならNASが適しています。
NASのセキュリティはどの程度ですか?
NASはパスワードやアクセス制限でデータを守ります。データが自宅やオフィスにあるため、外部リスクが低いです。たとえば、管理者だけが削除権限を持てます。ファームウェアを定期的に更新すれば、さらに安全性が高まります。