Home / 関連記事 /

NASが遅い原因はSSDキャッシュで解決:2025年におすすめの高耐久モデル

NASが遅い原因はSSDキャッシュで解決:2025年におすすめの高耐久モデル

18/12/2025

SSDをNASでどう活かすべきか全体像から整理したい方は、まずSSD搭載のメリットと注意点を確認すると、キャッシュ導入の優先度が判断しやすくなります。HDDは容量当たりのコストに優れ、NASの主ストレージとして広く採用されていますが、メカニカル構造のためランダムアクセス性能には限界があります。そこで、NASのM.2スロットや拡張カードでNVMe SSDをキャッシュに割り当てる選択が現実的になります。なお、キャッシュの効果はHDDの特性にも左右されるため、未選定の方はNAS向けHDDの選び方もあわせて参考にしてください。

SSDを利用してUGREEN NASの読み込み速度を向上させる

知見:

  • SSDキャッシュによる性能向上:NASにNVMe SSDキャッシュを追加することで、HDD特有の遅いランダムアクセス性能を補完し、システム全体の応答速度や体感速度を劇的に向上させることができます。
  • キャッシュ方式の違いとリスク:「読み取り専用」キャッシュはデータの安全性が高く導入が容易ですが、「読み書き」キャッシュは書き込み速度も向上させる反面、データ損失を防ぐための電源障害保護(PLP)とバックアップ体制が不可欠です。
  • 適切なSSD選定の基準:キャッシュ用途では連続転送速度よりも「耐久性(TBW)」が寿命を左右するため、一般的なPC向けSSDよりも、高耐久でPLP機能を備えたNAS専用SSD(WD Red SN700IronWolf 525など)の選択が推奨されます。

SSDキャッシュの本質

SSDキャッシュは、NASのストレージ構造に追加される高性能な加速レイヤーと捉えることができます。ユーザーがデータを要求すると、システムはまずSSDキャッシュを参照し、キャッシュにデータがある場合はHDDにアクセスせず高速に応答します。結果として、ストレージ全体の応答速度が向上し、アクセスが集中するデータほどSSDに近い体感を得られます(※体感はネットワーク帯域やNAS本体性能)。

NASキャッシュの種類を理解する:読み取り専用 vs 読み書き

読み取り専用キャッシュ

読み取り専用キャッシュは、データの読み出し操作のみを高速化します。NASがファイルの読み込み要求を受けると、アクセスされたデータ(多くはブロック単位)がSSDに自動的に蓄えられ、次回以降の同一データ参照が高速化されます。

この方式の主な利点はシンプルさと安全性にあり、元データ(正本)はHDD側に残るため、原則としてキャッシュSSDに障害が起きてもデータそのものが消えるリスクは低いとされています。

読み取り専用キャッシュが効果を発揮するのは、主に以下のような場面です。

  • 社内の共有ファイルサーバーやメディアライブラリへのアクセス
  • 写真編集ソフトで参照する大量の画像ファイル
  • 複数のユーザーが頻繁に参照する同じ書類やデータベース

一方で、新規保存や編集などの書き込み操作自体は高速化されにくく、あくまで「よく読まれるもの」へのアクセス改善が中心です。

読み書きキャッシュ

読み書きキャッシュは、読み取りに加えて書き込み操作も対象とします。ユーザーがNASにデータを保存する際、そのデータはまずSSDキャッシュに書き込まれ、システムは書き込み完了の応答を返します。その後、システムの状況に応じてHDD側へ反映されます。

この方式により、保存や編集時の体感速度が向上し、データベース更新や仮想マシン、共同編集など書き込み負荷の高い作業で効果が出やすくなります。

ただし、HDD側へ反映される前のデータがSSD側に残る方式(write-back等)の場合、電源断やキャッシュSSDの障害によってデータ欠損が起きる可能性があります。リスク低減のため、読み書きキャッシュはRAID1など冗長構成(製品によってはSSD 2枚必須)UPSの併用、そしてバックアップ体制の整備が推奨されます。

{{UGPRODUCT}}

適切なキャッシュSSDの選び方

キャッシュは小さな書き込みが連続するため書き込み拡大係数が上がりやすく、スペック上の連続書き込み速度よりも寿命設計が成果を左右します。

耐久性(TBW):キャッシュSSDの寿命を決定づける指標

総書き込み容量(TBW)は最も重視すべき仕様です。TBWは、ドライブが保証期間内に書き込み可能なデータ総量を示します。キャッシュ用途は小さな書き込みが積み重なりやすいため、連続速度より耐久性(TBW)を重視します。500GBなら300TBW以上を“目安”に、読み書きキャッシュや高負荷環境ではさらに上の耐久性を選ぶと安心です。

電源障害保護(PLP):データ整合性の守護役

電源障害保護(PLP)は、読み書きキャッシュを構築する際に必須の機能です。この機構は、突然の電源断が発生した場合でも、キャッシュ内のデータが確実に保存されることを保証します。停電時に書き込み途中データを保護できる設計(コンデンサ搭載など)があるSSDは信頼性面で有利ですが、コンシューマーSSDの“電断保護”は範囲が限定的な場合もあるため、用途に合わせて選びましょう。

互換性:UGREEN NASユーザーが最初に確認すべき事項

SSDキャッシュを導入する前に、お使いのUGREEN NASモデルがこの機能をサポートしているか、また推奨されるSSD規格(例:PCIe 3.0または4.0)を確認してください。公式サイトの互換性リストやユーザーマニュアルには、実証済みのドライブモデルや設定上の注意点が記載されている場合があります。

{{UGPRODUCT}}

容量選定

キャッシュ容量の選択は、単純にストレージ総容量に比例するわけではありません。アクセスパターンが、必要なキャッシュサイズを決定します。

  1. 250GB程度 : 主に文書ファイルやウェブページのキャッシュなど、ランダムアクセスが中心の軽いワークロードに適しています。
  2. 500GB程度 : 多くのホームユーザーや小規模オフィスにおいて、バランスの取れた選択肢です。写真ライブラリや標準的なビデオプロジェクトのキャッシュとして効果を発揮します。
  3. 1TB以上 : 大容量の4K/8K動画ファイルを扱うコンテンツクリエイターや、複数の仮想マシンを運用する環境で真価を発揮します。

2025年 年に販売台数の多いNAS用キャッシュSSD

キャッシュ用途におけるSSD選定では、連続読み書き速度よりも、長期信頼性とランダム性能が重要です。

最高クラスの性能と耐久性を求める方へ

  1. Western Digital WD Red SN700

    • このモデルはNAS環境専用に設計されており、高いTBW値を特徴とします。例えば1TBモデルのTBWは2,000に達し、一般的なコンシューマーSSDを大きく上回ります。
    • 専用の動的熱スロットリング技術を搭載し、長時間の高負荷操作においても性能を維持できます。
  2. Seagate IronWolf 525

    • SeagateのIronWolfシリーズはNAS最適化のもう一つの代表的な選択肢です。独自のIHM(IronWolf Health Management)ソフトウェアと連携し、ドライブの状態を能動的に監視できます。
    • 1TBモデルで1,400TBWの耐久性を提供し、読み書きキャッシュの厳しい要求にも応えます。
    • 電源管理機能が強化されており、NASの24時間365日連続運転における電力効率と信頼性に貢献します。

これらのドライブは価格が高めですが、データの整合性とシステムの安定性に対して妥協を許さないユーザーにとって、最も堅実な投資となります。

コストパフォーマンス

予算に制約がありながらも、一定レベルの信頼性と性能を求めるユーザー向けに、バランスの取れたモデルがあります。

  1. SK hynix Platinum P41

    • このモデルはコンシューマー市場向けですが、そのエネルギー効率の高さと優れた熱制御性能が、NASの密閉環境で有利に働きます。
    • 同クラスの他モデルと比較して、低消費電力と発熱量の少なさは特筆すべき点です。冷却が限られるNASベイ内での長期安定性に寄与します。
    • 1TBモデルのTBWは750程度であり、読み取り専用キャッシュや、書き込み負荷が中程度以下の読み書きキャッシュ用途で十分な性能を発揮します。
  2. Crucial P5 Plus

    • Micronの自社NANDフラッシュとコントローラーを採用し、一貫した品質管理を実現しています。広範な互換性と安定した供給が強みです。
    • 十分なTBW(1TBモデルで600)を備え、信頼性の高いメインストリームモデルとして位置付けられます。電源保護に関してはエンタープライズモデルに劣るため、読み取り専用キャッシュでの使用がより適しています。

これらのモデルを選択する際は、その性能特性を理解した上で、自身のワークロードと照らし合わせることが重要です。過度な書き込み負荷がかかる環境では、信頼性カテゴリのモデルへの投資を検討すべきです。

購入前の最終確認:あなたのNAS環境に適合させることが成功の鍵

特定のモデルを最終決定する前に、以下の点を改めて確認してください。

  1. NASの互換性リスト : お使いのUGREEN NASやその他NASのベンダーが公開している互換性リストを必ず参照し、選択したSSDモデルが正式にサポートされているか確認してください。
  2. ヒートシンクの必要性**:多くのNASモデルはNVMe SSDスロットにヒートシンクを標準装備していますが、そうでない場合は別途ヒートシンクの取り付けが必要です。熱暴走は性能低下と寿命短縮の主要因です。NASの温度管理に不安がある場合は、NASの温度問題を診断・解決する方法も併せてご確認ください。
  3. 保証期間 : メーカー保証期間は、メーカーがその製品の信頼性をどの程度見積もっているかを示す指標の一つとなります。長期保証は一般的に、より高い耐久性を期待できるサインです。

よくある質問 (FAQ)

SSDキャッシュは動画編集のワークフローを改善しますか。

改善します。特に、高解像度の素材ファイルを頻繁に読み込む工程で効果が顕著です。キャッシュが有効に機能すると、タイムラインのスクラブリングやプレビュー生成時の応答速度が向上します。ただし、最終的なレンダリング出力のように大容量の連続書き込みを行う工程では、キャッシュの効果は限定的です。動画編集におけるキャッシュの主な価値は、インタラクティブな操作感の向上にあります。

キャッシュを追加したのに変化が感じられません。何が問題ですか。

次の順で確認します。

  1. ヒット率が低い可能性があります。対象共有やフォルダの設定を見直し、バックアップやアーカイブを除外にします。
  2. RAM不足でOSのページキャッシュが効いていない可能性があります。ヒット率が伸びない場合はRAM増設が先に効くことがあります。
  3. ネットワークやプロトコルがボトルネックの可能性があります。SMB設定、NIC速度、MTU、DNS、スイッチの混雑を確認します。
  4. SSDがサーマルスロットリングを起こしている可能性があります。温度ログとクロックの推移を確認し、ヒートシンクとエアフローを調整します。

同じSSDをストレージプールとキャッシュの両方に使えますか。

技術的には不可能です。NASオペレーティングシステムは、ストレージプールを構成するドライブとキャッシュとして割り当てるドライブを明確に区別して管理します。一つの物理SSDを分割し、一部をストレージ、残りをキャッシュとして同時に使用することも、NASではサポートされていません。これらの役割は排他的です。ストレージプール用のSSDとキャッシュ用のSSDは、物理的に別々のドライブとして準備する必要があります。

Quick Navigation
Related Reads