ストレージプールとは?RAID・ボリュームとの違い
UGREEN NASの管理画面でストレージを設定しようとすると、「ストレージプール」「ストレージスペース」「RAID」という3つの用語が並びます。
この3つは同列の選択肢ではなく、階層構造になっています。物理ディスクをまとめたものがストレージプール、その中に切り出す保存領域がストレージスペース、そしてRAIDはプールを作るときに決める保護方式です。
キーポイント
- ストレージプールは物理ディスクの集まり、ストレージスペース(ボリューム)はその中に切り出す保存領域です。 RAIDはプール作成時に選ぶ保護方式です。
- プールの作成はディスクを初期化します。 既存のデータはすべて消去されるため、作成前のバックアップが必須です。
- RAIDタイプは、作成後はアップグレード方向にしか変更できません。 作成時の選択が、その後の構成を長く縛ります。
- 1つのプールに複数のストレージスペースを作成し、用途ごとに分けて運用できます。
- プールが失われると、その上のすべてのストレージスペースが同時に失われます。 RAIDはバックアップの代わりにはなりません。
ストレージ構成の順番
UGREEN NASのストレージ構成は、次の順番で理解すると分かりやすくなります。
HDD/SSD
↓
ストレージプール
作成時にRAIDタイプを選択
↓
ストレージスペース
容量とファイルシステムを設定
各用語の役割は次の通りです。
| 用語 | 役割 | 主に設定する内容 |
|---|---|---|
| HDD/SSD | データを記録する物理ドライブ | 台数、容量、型番 |
| RAID | 複数ドライブへのデータ配置方式 | 容量効率、耐障害性、性能 |
| ストレージプール | ドライブをまとめて管理する容量の単位 | 使用するドライブ、RAIDタイプ |
| ストレージスペース/ボリューム | プールから切り出す論理的な保存領域 | 容量、ファイルシステム |
ストレージプールとは
ストレージプールは、NASに搭載した1台以上のHDDやSSDをまとめて管理するための領域です。
複数ドライブを使用する場合は、プール作成時にRAID 0、RAID 1、RAID 5、RAID 6などのRAIDタイプを選びます。1台のドライブをBasic構成で使用する場合も、ストレージプールを作成します。
RAIDタイプによって、必要なドライブ数、使用可能容量、故障への備えが変わるため、プールを作成する前にRAIDタイプごとの選び方を確認してください。

ストレージプール自体は、ユーザーが直接ファイルを保存する場所ではありません。プールの容量からストレージスペースを作成し、その上に共有フォルダを配置します。
ストレージプールの作成は、対象ディスクをフォーマットする破壊的な操作です。
プールに組み込むディスクの中身は、すべて消去されます。 他のNASやPCで使っていたHDDを流用する場合、その中のデータは作成時に失われます。作業前に、必要なデータを別の保存先へ退避してください。
さらに重要な点として、プールの構成は後からやり直すことが困難です。 RAIDタイプの変更はアップグレード方向に限られ、構成をゼロから組み直すにはプールの削除(=全データの消去)が必要になります。作成時の選択が、その後の運用を長く縛ります。
RAIDはストレージプールの構成方式
RAIDは、ストレージプールの上に後から重ねる独立した領域ではありません。
UGOS Proでは、ストレージプールを作成するときに、使用するドライブとRAIDタイプを同時に選択します。RAIDタイプによって、使用可能容量、故障に耐えられるドライブ数、必要な最低ドライブ数が変わります。
RAIDの種類と選び方はRAID構成の選び方ガイドで解説しています。プール作成前に、どのRAIDタイプを使うかを決めておいてください。
ストレージスペースは実際の保存領域
ストレージスペースは、ストレージプールの容量から切り出して作成する論理的な保存領域です。
作成時には、主に次の項目を設定します。
- 使用する容量
- ファイルシステム
- 容量警告
- その他のストレージ設定
RAID・ストレージプール・ボリュームの違い
3つの用語は、次のように区別します。
RAID
RAIDは、複数のHDDやSSDへデータをどのように配置するかを決める方式です。
RAID 1では同じデータを複数ドライブへ保存し、RAID 5やRAID 6ではパリティを使ってドライブ障害に備えます。RAID 0は容量と性能を優先しますが、冗長性はありません。
ストレージプール
ストレージプールは、RAIDタイプを含めたドライブ構成をまとめて管理する単位です。
ドライブの健康状態、使用可能容量、RAIDの状態、再構築状況などは、ストレージプール単位で管理します。
ストレージスペース/ボリューム
一般的なNAS製品で「ボリューム」と呼ばれる論理的な保存領域に近いものが、UGOS Proの「ストレージスペース」です。
ストレージスペースにはファイルシステムを設定し、その上に共有フォルダを作成します。
ストレージスペースは複数に分けるべき?
1つのストレージプールから、複数のストレージスペースを作成できます。
1つで十分な場合
次のような用途なら、1つの大きなストレージスペースで管理し、共有フォルダで用途を分ける方法が分かりやすいです。
- 家族写真や動画の保存
- PCやスマートフォンのバックアップ
- 家族ごとの個人フォルダ
- 家庭内の共有フォルダ
- メディアファイルの保存
共有フォルダごとに権限を設定できるため、ユーザーや用途を分けるだけなら、複数のストレージスペースは必須ではありません。
複数に分ける場合
次のような場合は、ストレージスペースを分ける意味があります。
- 用途ごとに使用可能容量を明確に分けたい
- 一方の用途が容量を使い切るのを防ぎたい
- 異なるファイルシステムを使い分けたい
- 業務用と個人用を管理上分離したい
- アプリや仮想マシン用の領域を独立して管理したい
ただし、分けたスペースは同じプールの上にあるため、プール自体に障害が起きれば、すべてのスペースが同時に影響を受けます。 スペースを分けることは、データの整理には有効ですが、障害対策にはなりません。
作成前に決めること・後から変えられること
プール作成の判断で最も重要なのが、この区別です。
| 項目 | 後からの変更 |
|---|---|
| プールへのディスク追加(容量拡張) | 可能。 空きベイにディスクを追加して拡張できる |
| ストレージスペースの追加作成 | 可能。 プールの空き容量から追加できる |
| RAIDタイプの変更 | 限定的に可能。 Basic → RAID 1 → RAID 5 のアップグレード方向のみ |
| RAIDタイプのダウングレード(RAID 5 → RAID 1など) | 不可。 プールの削除と再作成が必要 |
| プール構成のやり直し | 不可。 プールを削除すると、その上の全データが消去される |
RAIDタイプの変更は、アップグレード方向に限られます。手順と条件はRAIDタイプを変更する方法で解説しています。
この表の意味は明快です。 容量は後から増やせますが、RAIDの方向性は最初に決めたものから戻れません。「まずBasicで作って、後でRAID 5にする」は可能ですが、「RAID 5で作って、後でRAID 1に戻す」はできません。作成時に、必要な冗長性を見極めてください。
UGOS Proでストレージプールを作成する手順
- ストレージ → ストレージ管理 → ストレージプールとスペース を開きます。
- 作成 → ストレージプール をクリックし、作成ウィザードに進みます。
- プールに組み込むハードディスクと、RAIDタイプを選択します。 選択できるRAIDタイプは、搭載しているディスクの台数によって変わります(RAID 5には3台以上が必要です)。
- 必要に応じて、ハードディスクの検査を実行するかを選択します。
- ストレージスペースの容量とファイルシステムを設定します。 容量はデフォルトで最大値が入りますが、後からスペースを追加する予定があれば、ここで調整します。
- 作成 をクリックすると、初期化が始まります。この時点でディスクのデータは消去されます。
- リスク通知を確認し、「すべてのデータを削除する」をクリック、パスワードを入力して確定します。
ストレージスペースを追加作成する
プールに空き容量が残っていれば、後からストレージスペースを追加できます。
- ストレージプールとスペース で、対象のプールの右側にある「…」をクリックします。
- ストレージスペースの作成 を選択します。
- 容量とファイルシステムを設定して作成します。
この操作はプールを初期化しないため、既存のスペースとデータには影響しません。
作成時によくある失敗
| 失敗 | 何が起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| RAIDタイプの選択ミス | 冗長性が必要な環境でBasicやRAID 0を選ぶと、ディスク1台の故障で全データを失う | 作成前に必要な冗長性と容量効率を確認する。ダウングレードはできない |
| SMRディスクの使用・混在 | 書き込み性能が低下し、RAIDの再構築が極端に遅くなる、または失敗する | CMR方式のNAS用HDDを使う。対応デバイス一覧で互換性を確認する |
| 容量警告の放置 | プールの空き容量が尽きると、書き込みができなくなる | 管理画面で容量アラートを設定し、定期的に使用量を確認する |
| プール構成をバックアップの代わりと考える | プール障害時に、上のすべてのスペースが同時に失われる | RAIDとは別に、外部媒体へのバックアップを設計する |
よくある質問
ストレージプールとストレージスペース(ボリューム)の違いは何ですか?
ストレージプールは、複数の物理ディスクを1つにまとめた単位です。RAIDタイプはこのプール作成時に決めます。ストレージスペース(ボリューム)は、そのプールの容量から切り出す保存領域で、ファイルシステムはここで決めます。ディスクを束ねてプールを作り、プールの中にスペースを切り出す、という順序になります。
ストレージスペースごとにRAIDを変えられますか?
できません。RAIDはプール単位で設定されるため、同じプール上のストレージスペースはすべて同じRAID構成の保護下に入ります。異なるRAID構成を使いたい場合は、別のプールを作成する必要があります。
プールの容量は後から増やせますか?
増やせます。空きベイにディスクを追加することで、既存のデータを保持したままプールの容量を拡張できます。ディスクの追加手順はHDDの交換・増設ガイドで解説しています。
まとめ
ストレージプールは物理ディスクの集まり、ストレージスペース(ボリューム)はその中に切り出す保存領域、RAIDはプール作成時に決める保護方式です。ディスクを束ねてプールを作り、プールの中にスペースを切り出す——この順序を理解すれば、管理画面の構造は明快になります。
容量は後から増やせます。しかし、必要な冗長性は最初に決めなければなりません。プールを作る前に、どのRAIDタイプで運用するかを確認してください。そして、RAIDを組んでもバックアップは必要です。プールが失われれば、その上のすべてのデータが同時に失われます。
