RAID 5・6・10の違い|4ベイ以上NASの選び方
前回の記事では、RAIDとは何かという基本を解説しました。RAIDは、複数のHDDやSSDを組み合わせて、容量効率、速度、HDD故障への備えを調整するストレージ構成です。
本記事では、4ベイ以上のNASで選択肢になりやすいRAID 5、RAID 6、RAID 10を中心に比較します。

2ベイNASで使われるRAID 0やRAID 1について知りたい場合は、RAID 0とRAID 1の違いを確認してください。本記事では、4ベイ以上のNASで容量、安全性、復旧、速度をどう考えるべきかに絞って解説します。
重要なポイント
- 容量効率ならRAID 5
- 安全性ならRAID 6
- 小ファイル・仮想マシンならRAID 10
- RAIDはファイル破損を万能に検出・修復する仕組みではありません。 長期保存ではバックアップと定期的な状態確認も必要です。
RAID 5、RAID 6、RAID 10は何が違うのか
4ベイ以上のNASでは、容量効率、安全性、速度のバランスを考えてRAID構成を選ぶ必要があります。
| RAID構成 | 最低必要HDD数 | 故障耐性 | 容量効率の目安 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| RAID 5 | 3台 | 1台故障に対応 | HDD台数から1台分を差し引く | 容量効率と冗長性のバランス |
| RAID 6 | 4台 | 2台故障に対応 | HDD台数から2台分を差し引く | 重要データ、大容量構成 |
| RAID 10 | 4台 | ミラーペア構成による | 約50% | 小ファイル、仮想マシン、速度重視 |
RAID 5は容量効率に優れます。RAID 6は2台故障に耐えられるため、安全性を高めやすい構成です。RAID 10は容量効率では不利ですが、ランダム書き込みや小ファイル処理に強い構成です。
RAID 10は、ミラーリングしたペアをストライピングする構成です。そのため、基本的には4台以上の偶数台構成が前提になります。6ベイなら3つのミラーペア、8ベイなら4つのミラーペアとして考えると、利用可能容量はおおむね総容量の50%です。

RAID 5、RAID 6、RAID 10の容量効率を比較する
RAIDを選ぶとき、まず確認したいのが利用可能容量です。同じHDD本数でも、RAIDレベルによって実際に使える容量は大きく変わります。
以下は、すべて同じ容量のHDDを使う場合の目安です。
| 構成 | 4台構成 | 6台構成 | 8台構成 |
|---|---|---|---|
| RAID 5 | 3台分 | 5台分 | 7台分 |
| RAID 6 | 2台分 | 4台分 | 6台分 |
| RAID 10 | 2台分 | 3台分 | 4台分 |
たとえば、4TBのHDDを4台使う場合、利用可能容量の目安は次のようになります。
| RAID構成 | 利用可能容量の目安 | 容量効率 | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| RAID 5 | 約12TB | 75% | 容量効率を重視する場合に有利 |
| RAID 6 | 約8TB | 50% | 2台故障への備えを重視する場合に有利 |
| RAID 10 | 約8TB | 50% | 速度や小ファイル性能を重視する場合に有利 |
4ベイ構成では、RAID 6とRAID 10の容量効率はどちらも50%です。そのため、4ベイNASでは「安全性を重視してRAID 6にするか」「速度や再構築のシンプルさを重視してRAID 10にするか」を比較する必要があります。
6ベイや8ベイになると、RAID 6の容量効率は改善します。6ベイでは約67%、8ベイでは75%の容量効率になるため、大容量データを保存しながら2台故障への備えも確保しやすくなります。
実際の利用可能容量は、HDD容量、台数、RAIDレベルによって変わります。構成を決める前に、RAID容量計算ツールで事前に確認しておくと安全です。

RAID 5、RAID 6、RAID 10は何台まで故障に耐えられるのか
RAIDの耐障害性は、「何台までHDDが故障しても運用を継続できるか」で比較されることが多いです。ただし、単純な故障台数だけで判断すると誤解が生じます。
| RAID構成 | 故障耐性 | 注意点 |
|---|---|---|
| RAID 5 | 1台故障に対応 | 再構築中にもう1台故障するとデータを失う |
| RAID 6 | 2台故障に対応 | 容量効率と書き込み性能のトレードオフがある |
| RAID 10 | ミラーペア構成による | 同じミラーペアの2台が故障すると復旧できない |
RAID 5は、1台のHDD故障に対応できます。ただし、故障したHDDを交換して再構築している間に、別のHDDが故障するとデータを失います。
RAID 6は、2台のHDD故障に対応できます。再構築中にさらに1台のHDDが故障しても、データを維持できる可能性がある点が強みです。
RAID 10は、RAID 1のミラーリングとRAID 0のストライピングを組み合わせた構成です。別々のミラーペアから1台ずつ故障した場合は運用を継続できる場合がありますが、同じミラーペア内の2台が故障するとデータを失います。
再構築リスク:大容量HDDではRAID 5を過信しない
RAID 5、RAID 6、RAID 10では、HDDが故障した後に新しいHDDへ交換し、データを再構築する作業が必要になります。
特にRAID 5とRAID 6では、パリティ情報を使ってデータを再構築します。HDD容量が大きくなるほど、再構築にかかる時間も長くなり、残りのHDDにも大きな負荷がかかります。
RAID構成では、HDDの品質も重要です。RAID 5やRAID 6を使う場合は、一般的なデスクトップ向けHDDではなく、NAS向けのCMR方式HDDを選ぶ方が安全です。詳しくは、NAS HDD選びガイドで確認できます。
速度や小ファイル性能を重視するならRAID 10を検討する
RAIDの速度は、読み書きの種類によって評価が変わります。大きなファイルを連続して読み書きする場合と、小さなファイルを大量に扱う場合では、向いているRAID構成が異なります。
| 用途 | 向いている構成 | 理由 |
|---|---|---|
| 大容量メディア保存 | RAID 5 / RAID 6 | 容量効率を確保しやすい |
| 写真・動画の長期保存 | RAID 6 | 2台故障への備えを確保しやすい |
| 仮想マシン | RAID 10 | ランダムI/Oに強い |
| Dockerや開発環境 | RAID 10 | 小ファイルや頻繁な書き込みに向く |
| 一般的なファイル共有 | RAID 5 / RAID 6 | 容量と安全性のバランスを取りやすい |
また、NASではRAID構成だけでなく、ネットワーク環境も速度に影響します。1GbE環境では、RAID構成の差よりネットワーク側が先にボトルネックになる場合があります。2.5GbEや10GbE環境では、RAID構成やHDD/SSD構成の差が見えやすくなります。転送速度が想定より出ない場合は、RAID構成を変更する前に、LANケーブル、スイッチ、PC側NIC、SMB設定などを切り分けると判断しやすくなります。具体的な確認ポイントは、UGREEN NASが遅い原因の確認で整理しています。
NAS本体の処理性能もRAID運用に影響する
RAID 5やRAID 6では、データとパリティ情報を使って冗長性を確保します。そのため、通常運用時の書き込みや、HDD故障後の再構築では、NAS本体のCPU、メモリ、HDDに負荷がかかります。
家庭での写真・動画保存や一般的なファイル共有であれば、多くの場合は大きな問題になりません。ただし、Docker、仮想マシン、メディアサーバ、写真管理アプリなどを同時に使う場合は、RAID処理以外にもCPUとメモリを消費します。
4ベイ以上のNASでRAID 5、RAID 6、RAID 10を使う場合は、HDD本数や容量だけでなく、NAS本体の処理性能にも余裕を持たせると安定しやすくなります。特に大容量HDDを使う場合や、複数のアプリを同時に動かす場合は、CPU、メモリ、ネットワーク性能まで含めてモデルを選ぶことが重要です。用途に合うベイ数や性能を確認したい場合は、UGREEN NAS製品一覧から、4ベイ、6ベイ、8ベイなどの対応モデルを比較できます。
用途別に見るRAID 5・RAID 6・RAID 10の選び方
RAIDは「どれが最強か」ではなく、「どの用途に合うか」で選ぶべきです。
| 用途 | 推奨構成 | 理由 |
|---|---|---|
| 4ベイで容量効率を重視 | RAID 5 | 4台中3台分を利用できる |
| 4ベイで安全性を重視 | RAID 6 | 2台故障に対応できる |
| 4ベイで速度や小ファイル性能を重視 | RAID 10 | ランダム書き込みに強い |
| 6ベイ以上で重要データを保存 | RAID 6 | 容量効率と安全性を両立しやすい |
| 仮想マシンやDockerを使う | RAID 10 | 応答性と書き込み性能を確保しやすい |
| 大容量メディアライブラリ | RAID 5 / RAID 6 | 容量と冗長性のバランスを取りやすい |
地震・停電に備えるならRAIDだけでは不十分
日本でNASを使う場合、地震や停電への備えも考える必要があります。ただし、RAIDは地震対策そのものではありません。
RAID 6は2台のHDD故障に対応できますが、NAS本体の落下、筐体の破損、電源トラブル、火災、水害、盗難には対応できません。RAID 1、RAID 5、RAID 6、RAID 10のどれを選んでも、物理的な災害や誤削除には別の対策が必要です。
重要データを守るには、RAIDに加えて次の対策を組み合わせてください。
| 対策 | 目的 |
|---|---|
| 外付けHDDや別NASへのバックアップ | NAS本体故障や誤削除に備える |
| クラウドバックアップ | 災害や盗難に備える |
| UPSの利用 | 停電や瞬断によるトラブルを減らす |
| NAS本体の安定した設置 | 転倒や落下リスクを減らす |
| HDD状態の監視 | 故障の兆候を早めに見つける |
RAIDはHDD故障への備えです。災害対策やバックアップとは役割が異なります。大切な写真、動画、仕事用ファイルを保存する場合は、RAID構成とバックアップを分けて考える必要があります。
UGREEN NASでRAID 5・RAID 6・RAID 10を選ぶ目安
UGREEN NASでは、モデルやベイ数によって選べるRAID構成が変わります。2ベイNASでは主にBasic、JBOD、RAID 0、RAID 1が候補になります。4ベイ以上のモデルでは、RAID 5、RAID 6、RAID 10も選択肢に入ります。
4ベイ以上のUGREEN NASでRAIDを選ぶ場合は、次のように考えると整理しやすくなります。
{{UGPRODUCT}}
| モデル例 | ベイ数 | RAID選択の目安 |
|---|---|---|
| UGREEN NASync DXP4800 Plus | 4ベイ | RAID 5、RAID 6、RAID 10を用途で比較 |
| UGREEN NASync DXP6800 Pro | 6ベイ | RAID 6で容量効率と安全性を両立しやすい |
| UGREEN NASync DXP8800 Plus | 8ベイ | 大容量構成でRAID 6を選びやすい |
まとめ:
どのRAID構成を選んでも、RAIDはバックアップではありません。RAIDはHDD故障への備えであり、誤削除、ランサムウェア、NAS本体故障、災害、ファイル破損には単独で対応できません。NASを安全に運用するには、用途に合ったRAID構成、NAS向けHDD、バックアップ、UPS、そしてNAS本体の処理性能を総合的に考えることが重要です。
