RAIDリビルド時間の目安|終わらない原因と短縮する6つの方法
RAIDリビルドが遅い、あるいは終わらないように見える場合は、まずNASへの不要なアクセスを止め、「RAID同期優先」に設定してください。HDDの容量、RAID構成、ディスクの健康状態、同時アクセスによっては、完了まで1日以上かかることもあります。
UGREEN UGOS PROでは、RAIDリビルド中の負荷を抑え、同期処理を優先することで、復旧までの時間を短縮できる可能性があります。

本記事の「6つの方法」は、次の2つに分かれます。
| 目的 | 対策 |
|---|---|
| 今回のRAIDリビルドを早く完了させる4つの方法 | RAID同期優先、不要なI/Oの停止、HDD状態の確認、温度・電源の安定化 |
| 次回の障害時に復旧開始を早める2つの準備 | 互換性のある交換用HDDの準備、ホットスペアの設定 |
ホットスペアは、進行中のリビルド処理そのものを高速化する機能ではありません。HDD障害の検出後に修復を自動開始し、RAIDの冗長性が低下している時間を短くするための事前対策です。
RAIDリビルド時間の目安
1TBのRAID同期にかかる時間は約4時間が目安です。
| 交換・再構築対象となるHDD容量 | 1TB約4時間を基準にした単純換算 |
|---|---|
| 1TB | 約4時間 |
| 4TB | 約16時間 |
| 8TB | 約32時間 |
| 12TB | 約48時間 |
| 16TB | 約64時間 |
ただし、上表は容量に基づく単純換算であり、各RAID構成・NASモデル・HDDの実測値ではありません。実際の所要時間は、次の条件によって大きく変動します。
- RAIDレベルと構成台数
- NASへの同時アクセス量
- HDDの読み書き速度と健康状態
- 不良セクターやI/Oエラーの有無
- HDDとNAS本体の温度
- RAID同期優先度の設定
- バックアップ、クラウド同期、動画変換などの実行状況
たとえば8TBのHDDでは、単純換算では約32時間が出発点になります。しかし、NASを複数人で使用している場合や、残っているHDDに読み取りエラーがある場合は、さらに長くかかることがあります。
RAIDリビルドが遅くなる主な原因
NASへのアクセスが集中している
RAIDリビルド中にファイル転送、パソコンのバックアップ、クラウド同期、動画再生、動画変換などを続けると、通常のアクセスとリビルド処理でHDDの読み書き性能を分け合うことになります。
その結果、リビルドに使えるディスクI/Oが減り、完了までの時間が延びます。
残っているHDDの読み取り状態が悪い
リビルドでは、新しいHDDだけでなく、故障していない既存HDDから大量のデータを読み取ります。
既存HDDに不良セクター、読み取りエラー、I/Oエラー、温度上昇などがあると、読み取りの再試行が発生し、リビルド速度が大きく低下することがあります。
HDDの容量が大きい
大容量HDDほど、確認・再構築が必要な領域も増えます。4TBから8TB、8TBから16TBへ容量を増やすほど、リビルド時間が長くなる傾向があります。
RAID構成と耐障害性が異なる
RAID 5は分散パリティを使用し、1台のHDD故障に耐えられます。ただし、すでに1台が故障している状態では冗長性を失います。
RAID 6は二重の分散パリティを使用するため、1台のHDDが故障した後も、さらに1台のHDD故障に耐えられます。
RAID 5が常に速く、RAID 6が常に遅いわけではありません。実際のリビルド時間は、NASの処理性能、HDD、構成台数、利用状況によって変わります。
RAIDレベルごとの容量効率や耐障害性については、NASのRAID構成と選び方をご覧ください。
今回のRAIDリビルドを早く完了させる4つの方法
1.RAID同期優先に設定する
UGREEN NASでは、UGOS ProからRAID同期の優先度を変更できます。
設定手順は次のとおりです。
ストレージマネージャー → ストレージ管理 → 詳細設定 → パフォーマンスオプション → RAID同期優先度

リビルドを早く完了させたい場合は、「RAID同期優先」を選択します。
この設定では、通常のファイルアクセスよりもRAID同期処理へ多くのリソースが割り当てられるため、NASの読み書き速度が一時的に低下することがあります。リビルドが完了した後は、「ユーザー読み書き優先」に戻してください。
なお、同期優先度を変更した場合の改善率は、NASモデル、HDD、RAID構成、同時アク
2.大容量の読み書きを停止する
リビルド中は、次のような高負荷処理を一時停止してください。
- パソコンやスマートフォンの大容量バックアップ
- 他のNASやUSBストレージへのデータ転送
- クラウドストレージとの大量同期
- 大容量ファイルのコピーや移動
- 動画の変換やサムネイル生成
- 仮想マシンやコンテナの高負荷処理
- データスクラブ
- 長時間のS.M.A.R.T.完全テスト
障害が発生してリビルドが必要になった場合、夜間まで処理開始を待つことは推奨できません。できるだけ早くリビルドを開始し、利用者が少ない時間帯に不要なアクセスを止めて「RAID同期優先」を有効にしてください。
3.既存HDDの健康状態を確認する
リビルド速度は、新しく取り付けたHDDだけでなく、既存HDDの読み取り状態にも左右されます。
UGOS Proのストレージ管理画面で、次の項目を確認してください。
- HDDの健康状態
- HDD温度
- 稼働時間
- 不良セクター警告
- 再割り当て済みセクター
- S.M.A.R.T.情報
- ストレージプールの警告
- システムログのI/Oエラー
不良セクター警告は有効にしておくことを推奨します。

リビルド中にI/Oエラーや不良セクターの警告が増え続ける場合は、単に処理が遅いのではなく、別のHDDにも問題が発生している可能性があります。この状態でHDDを自己判断で抜き差ししないでください。
4.温度と電源を安定させる
HDDやNAS本体の温度が高いと、性能が低下したり、読み取りエラーや動作不安定の原因になったりする場合があります。
リビルド中は、次の点を確認してください。
- NASの吸気口・排気口をふさがない
- 壁や家具との間に放熱スペースを確保する
- 直射日光が当たる場所を避ける
- 通気口や冷却ファンのほこりを確認する
- 振動や落下の恐れがある場所に設置しない
- リビルド中に電源ケーブルを抜かない
- 可能であればUPSを使用する
UPSはRAIDリビルドを直接高速化する機器ではありません。しかし、停電や瞬間的な電圧低下によるNASの停止を防ぎ、リビルドの中断リスクを減らせます。
US3000は、DXP2800、DXP4800、DXP4800 Plus、DXP480T Plus、DH4300 Plus、DH2300に対応するUGREEN NAS用バックアップ電源です。停電時のNAS停止によるRAIDリビルド中断リスクを抑えたい場合に活用できます。
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次回の障害時に復旧開始を早める2つの準備
5.互換性のある交換用HDDを準備しておく
HDDが故障してから交換用ドライブを選ぶと、互換性確認、購入、配送を待つ間、RAIDの冗長性が低下した状態が続きます。
交換用HDDは、次の条件を満たすものを準備してください。
- UGREEN NASとの互換性が確認されている
- 交換前のHDD以上の容量がある
- RAID構成に適したインターフェースとセクター形式である
- 長時間の連続稼働を想定したNAS向けモデルである
- CMR方式を採用している
- 健康状態に問題がない
HDDの回転数だけで交換用ドライブを選ぶことは推奨できません。7200RPMのHDDでも、発熱、消費電力、騒音、互換性などによっては適さない場合があります。
また、HDDで構成されたRAIDに1台だけSSDを追加しても、RAID全体のリビルド速度がSSDの速度になるわけではありません。
対応ドライブはUGREEN NAS互換性リストで確認できます。容量や用途に合ったドライブの選び方は、NAS用HDDの選び方をご覧ください。
HDDを交換する際は、最新のバックアップを確認したうえで、1台ずつ作業してください。1台目の修復が100%完了し、ストレージプールが正常な状態に戻る前に、次のHDDを取り外してはいけません。
具体的な作業手順は、NASのHDDを安全に交換・増設する方法で解説しています。
6.ホットスペアを設定する
空きベイがある場合は、未使用のHDDをホットスペアとして登録できます。
ホットスペアを設定しておくと、RAIDメンバーのHDDに故障または危険な状態が検出された際、修復処理を自動で開始できます。管理者が交換用HDDを準備して作業するまでの待ち時間を減らし、RAIDの冗長性が低下している時間を短縮できます。
UGREEN NASでホットスペアを設定する際の主な条件は次のとおりです。
- 対応するRAIDレベルはRAID 1、RAID 5、RAID 6、RAID 10
- 未使用のHDDが必要
- ホットスペアHDDの容量は、ストレージプール内で最も容量が小さいHDD以上
- SSDはホットスペアとして使用できない
- HDDの健康状態と互換性に問題がない
- 登録時に対象HDD内のデータが消去される
設定手順は次のとおりです。
ストレージ管理 → ストレージプールとスペース → 対象のストレージプールを選択 → ホットスペア管理 → 追加 → 適用
ホットスペアは、進行中のリビルド処理を高速化するものではありません。障害検出後の修復開始を自動化し、復旧までの総時間を短くするための機能です。
RAID再構築が終わらないときの確認手順
リビルドの進行率が長時間変わらない場合は、次の順番で確認してください。
進行率が少しずつ増えているか確認する
残り時間は、現在の処理速度をもとに算出される推定値です。NASへのアクセス量やHDDの状態が変わると、表示時間が増減することがあります。
残り時間だけで異常と判断せず、進行率が継続して増えているかを確認してください。
高負荷処理を停止する
バックアップ、クラウド同期、ファイル転送、動画変換、仮想マシンなどを停止し、しばらく進行状況を確認します。
負荷を下げた後に進行速度が改善した場合は、NASへの同時アクセスが主な原因です。
HDDの警告とシステムログを確認する
次の状態が見つかった場合は、既存HDDの読み取りエラーによって処理が停滞している可能性があります。
- 不良セクター数が増えている
- 再割り当て済みセクターが増えている
- S.M.A.R.T.警告が表示されている
- I/Oエラーが繰り返されている
- HDDが認識と切断を繰り返している
- HDD温度が異常に高い
強制再起動やHDDの抜き差しをしない
進行が遅いという理由だけで、NASを強制終了したり、別のHDDを取り外したりしないでください。
特にRAID 5では、すでに1台が故障している状態で別のHDDに問題が起きると、ストレージプールを復元できなくなる可能性があります。
進行率がまったく変化せず、複数のHDDにエラーが表示されている場合は、操作を繰り返す前にバックアップ状況を確認し、システムログを保存してください。
RAIDリビルド中に避けるべき操作
RAIDリビルド中は、次の操作を避けてください。
- NASの強制終了
- 電源ケーブルの取り外し
- RAIDメンバーHDDの不用意な抜き差し
- 複数HDDの同時交換
- 大容量データの一括移動
- 大規模なバックアップや同期
- データスクラブの同時実行
- 長時間のS.M.A.R.T.完全テスト
- RAIDレベルやストレージプール構成の変更
- ファームウェア更新
リビルドが完了し、ストレージプールが正常な状態に戻ったことを確認してから、通常のバックアップやメンテナンスを再開してください。
RAIDリビルドとバックアップは別の対策
RAIDは、HDD故障時の可用性を高める仕組みであり、バックアップではありません。
RAIDを構成していても、誤削除、ランサムウェア、NAS本体の故障、複数HDDの故障、火災、水害、地震、盗難などによってデータを失う可能性があります。
ランサムウェア対策では、アクセス権限の制限、スナップショット、NASから切り離したバックアップを組み合わせます。具体的な多層防御とバックアップ設計は、家庭用NASのランサムウェア対策で解説しています。
重要なデータは、NAS以外のストレージやクラウドにも保存してください。地震対策では、UPSに加え、NAS本体の転倒・落下防止と、別の場所に保管するバックアップを組み合わせることが重要です。
よくある質問
8TB・16TBのRAIDリビルドにはどのくらい時間がかかりますか?
「1TB約4時間」という目安を単純換算すると、8TBでは約32時間、16TBでは約64時間です。
ただし、これは容量に基づく参考値です。RAID構成、NASへの同時アクセス、HDDの状態、温度、エラーの有無によっては、さらに長くかかることがあります。実際の完了予定は、ストレージ管理画面の進行率とHDDの警告をあわせて判断してください。
RAID 5とRAID 6では、リビルド中のリスクはどう違いますか?
RAID 5は1台のHDD故障に耐えられますが、すでに1台が故障してリビルド中の場合、別のHDDが故障するとデータを復元できなくなる可能性があります。
RAID 6は2台のHDD故障に耐えられるため、1台が故障してリビルド中でも、さらに1台のHDD故障に耐えられます。ただし、RAID 6でもバックアップは必要です。
まとめ
RAIDリビルド時間を短縮するには、まず「RAID同期優先」に設定し、NASへの不要なアクセスを減らすことが有効です。あわせて、既存HDDの健康状態、温度、電源の安定性を確認してください。
次回のHDD障害に備える場合は、互換性のある交換用HDDやホットスペアを事前に準備しておくことで、障害発生から修復開始までの待ち時間を短縮できます。
進行が遅いからといって、NASを強制終了したり、別のHDDを抜き差ししたりしてはいけません。進行率、HDDの警告、システムログを確認しながら、安全にRAIDリビルドを完了させてください。
