NASの容量は何TB必要?用途別目安とRAID実効容量
NASの容量を選ぶとき、最初に考えるべきなのは「HDDを何TB買うか」ではなく、「RAID構成後に実際に何TB使えるか」です。
たとえば、4TBのHDDを2台入れても、RAID 1で構成すると使える容量の目安は約4TBです。4TB×4台でも、RAID 5なら約12TB、RAID 6なら約8TBが実効容量の目安になります。
この記事では、用途別のNAS容量目安、RAID別の実効容量、2ベイ・4ベイ・6ベイでの考え方。

キーポイント
- NAS容量は、HDDの合計容量ではなく、RAID構成後の実効容量で考えます。
- 写真や書類中心なら実効容量2〜4TB、家族写真・動画やPCバックアップなら4〜8TB、4K動画やRAW写真なら8〜16TB以上が目安です。
- HDDメーカーのラベル容量とNAS上の表示容量には差があり、4TBのHDDが約3.6TiB前後に見えることがあります。
- RAID 1ではHDD1台分、RAID 5では1台分、RAID 6では2台分が冗長性に使われます。
- 大容量HDDでRAID 5を使う場合は、リビルド時間と2台目故障・読み取りエラーのリスクも考慮します。
- RAIDはバックアップではありません。重要データは別の保存先にもバックアップしてください。
NAS容量はHDD合計容量だけでは決まらない
NASの容量を考えるとき、最初に注意したいのは「HDDの合計容量」と「実際に使える容量」は違うという点です。
NASやPC上ではHDDメーカー表記よりも容量が小さく表示されます。これは単位の数え方が違うためです。
NAS容量を設計するときは、次の3段階で考えます。
| 段階 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| HDDラベル容量 | HDDメーカーが表記する容量 | 4TB、8TB、12TBなど |
| NAS上の表示容量 | NASやOSが表示する容量 | / |
| RAID後の実効容量 | 実際に保存領域として使える容量の目安 | RAID 1、RAID 5、RAID 6で変わる |
構成ごとの容量をすぐに確認したい場合は、RAID容量計算ツールを使ってください。HDD本数、HDD容量、RAIDレベルを入力すると、RAID 1、RAID 5、RAID 6などの実効容量を事前に試算できます。

用途別:NAS容量の目安
NAS容量の目安は、保存するデータの種類と、今後どれくらい増えるかで変わります。現在のデータ量だけで判断すると、数年後に容量不足になりやすくなります。
| 用途 | データ例 | 目安の実効容量 |
|---|---|---|
| 書類・写真中心 | 文書、PDF、スマホ写真 | 2〜4TB |
| 家族写真・動画 | スマホ写真、短い動画、PCバックアップ | 4〜8TB |
| 4K動画・RAW写真 | カメラ動画、RAW写真、編集素材 | 8〜16TB以上 |
| 小規模オフィス | 共有フォルダ、業務ファイル、バックアップ | 8TB以上 |
| メディア管理 | 動画ライブラリ、Plex、Jellyfin用データ | 8〜20TB以上 |
ここでいう容量は、HDD単体の容量ではなく、RAID構成後に使える実効容量です。たとえば、実効容量として8TB必要な場合、RAID 1なら8TB HDDを2台、RAID 5なら4TB HDDを3台以上、またはより大容量のHDD構成を検討します。
容量は現在量+将来の増加量で考える
必要容量は、次の式で見積もると分かりやすくなります。
必要容量 = 現在のデータ量 + 年間の増加量 × 保存したい年数
たとえば、現在のデータが1TBで、毎年300GBずつ増える場合、3年後に必要な容量は次の通りです。
1TB + 0.3TB × 3年 = 1.9TB
バックアップ、スナップショット、同期、アプリ、メタデータ処理に余裕を持たせるため、実効容量の8割以内で運用できる構成を目安にします。
上記の例では、1.9TBを保存するなら、実効容量2TBぎりぎりではなく、3TB以上の実効容量を目標にすると運用しやすくなります。
ラベル容量・表示容量・実効容量の違い
HDDのラベルに書かれている容量は、メーカーが10進法で計算した数値です。たとえば、1TBは1,000,000,000,000バイトとして表記されます。
一方、NASやPCのOSでは、2進法ベースに近い単位で容量を表示するため、HDDメーカー表記よりも小さく見えます。4TBのHDDがNAS上で約3.6TiB前後に見えることがあるのは、この単位の違いによるものです。
これはHDDの故障ではありません。
| HDDラベル容量 | NASやPC上で見える容量の目安 |
|---|---|
| 1TB | 約0.9TiB前後 |
| 2TB | 約1.8TiB前後 |
| 4TB | 約3.6TiB前後 |
| 8TB | 約7.2TiB前後 |
| 12TB | 約10.9TiB前後 |
| 16TB | 約14.5TiB前後 |
さらに、RAID構成、ファイルシステム、システム領域、スナップショット設定などによって、ユーザーが実際に保存に使える容量は変わります。UGOS Proシステムでは、システムパーティションに約16GB (約15.3GiB) のハードディスク領域が必要です。
そのため、NAS容量を見るときは、次の順番で確認します。
- HDDラベル容量
- NAS上の表示容量
- RAID後の実効容量
- 実際に安全に使える運用容量
実際の購入判断では、4番目の「安全に使える運用容量」を基準にしてください。
RAID別の実効容量早見表
RAID構成によって、HDDの合計容量と実際に使える容量は変わります。
次の表は、分かりやすくするためにHDDメーカー表記ベースで概算したものです。NAS上の表示容量は、これより小さく見える場合があります。
| RAID | HDD構成例 | HDD合計容量 | 実効容量の目安 | 故障耐性 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| RAID 0 | 4TB×2台 | 8TB | 約8TB | なし | 速度・容量重視。重要データには不向き |
| RAID 1 | 4TB×2台 | 8TB | 約4TB | 1台故障まで | 2ベイNAS、家庭用バックアップ先 |
| RAID 5 | 4TB×3台 | 12TB | 約8TB | 1台故障まで | 3ベイ以上、容量効率と冗長性のバランス |
| RAID 5 | 4TB×4台 | 16TB | 約12TB | 1台故障まで | 4ベイNAS、家庭・小規模オフィス |
| RAID 6 | 4TB×4台 | 16TB | 約8TB | 2台故障まで | 4ベイ以上、冗長性重視 |
| RAID 10 | 4TB×4台 | 16TB | 約8TB | 同一ミラーペアでなければ最大2台故障まで | 性能と冗長性のバランス |
RAID 0は容量効率が高い構成ですが、1台でもHDDが故障するとデータを失う可能性があります。重要データの保存には向きません。
RAID 1は2ベイNASで選びやすい構成です。同じデータを2台に保存するため、1台が故障しても運用を継続しやすくなります。ただし、RAID 1はバックアップではありません。誤削除やファイル破損に備えるには、別の保存先へのバックアップが必要です。
RAID 5は容量効率と冗長性のバランスを取りやすい構成です。3台以上のHDDが必要で、1台故障まで耐えられます。RAID 6は2台故障まで想定できますが、その分、実効容量は小さくなります。
RAID 10はミラーとストライピングを組み合わせる構成です。4台構成では実効容量は合計容量の約半分になります。異なるミラーペアであれば複数台故障に耐えられる場合がありますが、同じミラーペアの2台が故障するとデータを失う可能性があります。
RAIDの仕組みや冗長性を詳しく確認したい場合は、RAIDとは何かを解説した初心者向けガイドを参考にしてください。
大容量HDDではRAID 5のリビルドリスクも考える
RAID 5は容量効率と冗長性のバランスを取りやすい構成ですが、大容量HDDを使うほどリビルド時間が長くなります。リビルド中は残りのHDDを大量に読み出すため、別のHDDの劣化や読み取りエラーが表面化するリスクがあります。
そのため、8TB、12TB、16TB以上のHDDを複数台使う場合や、重要データを長期保存する場合は、RAID 5だけでなくRAID 6やRAID 10も比較してください。
RAID 6は実効容量が減る一方で、2台故障まで想定できます。RAID 10は実効容量が約半分になりますが、構成によってはリビルド負荷を抑えやすく、読み書き性能を重視する用途にも向きます。
どのRAIDを選んでも、RAIDはバックアップではありません。重要データは、外付けHDD、別NAS、クラウドなど別の保存先にも退避してください。
2ベイ・4ベイ・6ベイで容量設計はどう変わるか
NASの容量設計では、ベイ数が大きく影響します。ベイ数とは、HDDやSSDを搭載できるスロット数のことです。
同じ4TB HDDを使っても、2ベイ、4ベイ、6ベイでは選べるRAID構成と実効容量が変わります。
| ベイ数 | 構成例 | 実効容量の考え方 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| 2ベイ | 4TB×2台 RAID 1 | 約4TB | 家庭用、写真保存、PCバックアップ |
| 4ベイ | 4TB×4台 RAID 5 | 約12TB | 家族共有、小規模オフィス、動画保存 |
| 4ベイ | 4TB×4台 RAID 6 | 約8TB | 冗長性重視 |
| 6ベイ | 4TB×6台 RAID 5 | 約20TB | 大容量保存、複数人利用 |
| 6ベイ | 4TB×6台 RAID 6 | 約16TB | 大容量かつ冗長性重視 |
容量の違うHDDを混在させるとどうなるか
NASでは、容量の違うHDDを混在できる場合があります。
ただし、RAID構成では最小容量のHDDに合わせて計算されることが多いため、大容量HDDを入れても一部容量を使えない場合があります。
| HDD構成例 | RAID構成 | 実効容量の考え方 |
|---|---|---|
| 4TB+8TB | RAID 1 | 4TB側に合わせられ、実効容量は約4TB |
| 4TB+4TB+8TB | RAID 5 | 4TB×3台相当で計算される |
| 4TB+8TB+8TB+8TB | RAID 5 | 最小の4TBに合わせられるため、8TBの一部を活用できない |
| 8TB+8TB+8TB+8TB | RAID 5 | 同容量のため容量効率を見積もりやすい |
容量の違うHDDを混在させると、使えない容量が発生しやすくなります。
安定性と管理のしやすさを考えると、RAID構成では同容量・同等仕様のHDDでそろえる方が分かりやすくなります。
HDDを選ぶ段階では、容量だけでなく、NAS向けHDD、CMR方式、互換性も確認してください。HDD選びの基準は、NAS用HDDの選び方で詳しく整理しています。
容量が足りなくなったときの選択肢
NASの容量が足りなくなった場合は、現在のベイ数、RAID構成、空きベイの有無によって対応が変わります。
| 方法 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 空きベイにHDDを追加 | NASに空きベイがある | 新規ストレージプール、既存プール拡張、ホットスペアで目的が異なる |
| 大容量HDDへ交換 | 空きベイがない、または既存RAIDの容量を増やしたい | RAID構成によっては1台ずつ交換し、修復後に拡張が必要 |
| RAID構成を変更 | 容量効率や冗長性を見直したい | 対応条件、バックアップ、再構築時間を確認する |
| 不要データを整理 | 一時的に空き容量を作りたい | 根本的な容量不足の解決にはならない |
| 外部保存先へ退避 | アーカイブデータが多い | 頻繁に使うデータと長期保存データを分ける |
HDDの追加、容量アップのための交換、ホットスペアの設定、RAID修復の具体的な手順は、NASのHDD交換・増設方法で確認してください。
よくある質問
NASの容量はどれくらい必要ですか?
写真や書類中心なら実効容量2〜4TB、家族写真・動画やPCバックアップなら4〜8TB、4K動画やRAW写真なら8〜16TB以上が目安です。現在のデータ量に年間増加量×保存したい年数を足し、実効容量の8割以内で収まる構成を選びます。
4TBのHDDを入れたのに3.6TB前後に見えるのはなぜですか?
HDDメーカーのTB表記と、NASやPCのTiB表示で容量の数え方が違うためです。故障ではありません。RAIDやファイルシステム領域によって、実際に保存できる容量はさらに変わります。
RAID 1では容量は半分になりますか?
同じ容量のHDDを2台使うRAID 1では、実効容量はHDD1台分になります。たとえば4TB×2台なら、実効容量の目安は約4TBです。
RAID 5の実効容量はどう計算しますか?
同容量HDDの場合、RAID 5の実効容量は「HDD容量×(HDD本数−1)」が目安です。4TB×4台なら約12TBです。正確に試算したい場合は、RAID容量計算ツールを使ってください。
容量の違うHDDを混在させるとどうなりますか?
RAID構成では、最小容量のHDDに合わせて計算される場合があります。大容量HDDを入れても、その容量をすべて使えるとは限りません。
大容量HDDでRAID 5を使っても大丈夫ですか?
使えますが、リビルド時間とリビルド中の読み取りエラー、2台目故障リスクを考える必要があります。重要データや大容量構成では、RAID 6やRAID 10も比較してください。
NASの容量が足りなくなったらどうすればよいですか?
空きベイがある場合はHDD追加や既存プール拡張、空きベイがない場合は大容量HDDへの交換を検討します。具体的な手順は、HDD交換・増設の記事で確認してください。
RAIDがあればバックアップ容量は不要ですか?
不要ではありません。RAIDはHDD故障時の可用性を高める仕組みで、バックアップではありません。誤削除、ランサムウェア、NAS本体故障、災害に備えるには別の保存先が必要です。
まとめ
NASの容量は、HDDの合計容量だけでは判断できません。HDDラベル容量、NAS上の表示容量、RAID後の実効容量、ベイ数、将来のデータ増加を合わせて考える必要があります。
