iPhone写真・動画のiCloud容量不足をNAS自動バックアップで解消する方法
iPhoneで撮った写真や動画が増えるにつれて、必ずと言っていいほど生まれる悩みが「iCloudの容量不足問題」です。

一般的な解決方法として挙げられるのが、ずばり「iCloud+の有料プラン」を購入すること。つまり課金です。Apple公式の月額料金は、50GBで150円、200GBで450円、2TBで1,500円。写真はもとい、4K動画もバシバシ撮るとなると、2TBプランでも心もとなくなり、6TB(月額4,500円)、12TB(月額9,000円)といった上位プランを検討するケースも多いのではないでしょうか。年単位で考えると、けっこう高額な固定費といえます。
Googleフォトも選択肢として思い浮かびますが、無料枠はGmail・Googleドライブと共用でわずか15GB。本格的にストレージとして活用するには、結局iCloudと同じく有料プランの利用が前提になってきます。
そこで選択肢に入ってくるのが、iPhoneの写真や動画の保存先として使える [NAS ストレージ] です。クラウドの月額課金とは異なり、本体とHDDを一度用意すれば、追加の月額料金を抑えながら運用しやすくなります。容量が足りなくなった場合も、HDDの交換や追加で拡張しやすい点は、長期的な保存先を考えるうえで大きな利点です。
さて、本編では、iPhoneの写真をNASに自動バックアップするための具体的な手順を、準備段階から初回バックアップの確認まで順を追って解説していきます。
この記事のポイント:
- iCloudはフル解像度の写真・動画を保存するため容量が圧迫されやすく、「iPhoneストレージ最適化」はiCloud容量を減らす効果はない
- iCloud・Googleフォトは月額課金が継続するのに対し、NASは一度購入で月額費用がかからず容量拡張も自由
- UGREEN NASを使い、同Wi‑Fi環境でアプリ設定するだけでiPhoneの写真・動画をオリジナル画質で自動バックアップできる
- バックアップが始まらない・画質が劣る・動画が遅いなどの失敗は、アクセス権・ネットワーク・形式設定の確認で解消できる
- RAID1はHDD故障に対応するだけで誤削除は守れないため、NASと別に追加のバックアップ先を用意するのが安全
普通に使っているだけでiCloudの容量が足りなくなるのはなぜ?
iCloudの容量が写真で圧迫される背景には、iCloud写真の仕組みそのものが関係しています。
iCloud写真は、すべてをフル解像度で保存する
iCloud写真をオンにすると、iPhoneで撮影した写真・動画はオリジナルのフォーマット・フル解像度でiCloudにアップロードされます。iPhone 15 Pro以降で撮れる48MPの写真、4K/60fpsの動画、シネマティックモードの映像------これらがすべて圧縮なしでクラウドに蓄積されていきます。
1枚あたりのファイルサイズは撮影条件によって異なりますが、48MP ProRAWなら1枚で約75MB、4K動画は1分あたり約400MB(HEVC撮影時)。日常的に写真を撮り、たまに動画も残す使い方でも、年間で数十GBは簡単に積み上がります。
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「iPhoneストレージを最適化」はiCloud容量を減らす機能ではない
iCloud写真の設定には「iPhoneストレージを最適化」というオプションがあります。名前だけ見ると容量節約に効きそうですが、これはあくまでiPhone本体のストレージを節約する機能です。
仕組みはこうです。iPhone本体の空きが少なくなると、フル解像度の写真・動画をiCloudにだけ残し、iPhone側には軽量なサムネイル版を保持します。必要なときにiCloudからオリジナルをダウンロードして表示する、という方式です。
つまり、iCloud側には常にフル解像度データが保存されたままです。「最適化をオンにしたのに、iCloudの残量が減らない」という疑問をよく見かけますが、これは仕様どおりの動作です。iPhone本体の容量とiCloudの容量は、別々の問題として切り分けて考える必要があります。なお、この「最適化」設定がオンのままNASへ写真をバックアップすると、iPhone側に残っているサムネイル版だけが転送され、オリジナル画質の写真がNASに保存されないという問題が起きます。NASの写真バックアップで画質が劣化する原因と対策で、この設定の切り替え手順と、転送後にオリジナルが保存されているかを確認する方法を整理しています。
動画が増えると、容量の増え方が変わる
写真だけなら容量の増加ペースは比較的ゆるやかですが、動画が加わると状況が変わります。
子どもの運動会、旅行先での風景、ちょっとした日常の記録------スマートフォンの動画撮影が手軽になったぶん、意識しないまま数十GBの動画ファイルがiCloudに溜まっていることは珍しくありません。写真1,000枚より、動画数十本のほうがストレージへの影響が大きいケースも多くあります。この容量増加のペースは、NASを導入する際にベイ数(HDDの搭載数)を何台にするかの判断にも直結します。動画の比率が高いほど将来の拡張余地が重要になるため、2ベイと4ベイNASの選び方と家庭での使い分けを把握しておくと、後から容量不足に悩むリスクを減らせます。

Googleフォトも15GBをGmail・Driveと分け合う構造
iCloudの代替としてGoogleフォトを検討する方もいますが、Googleアカウントの無料ストレージ15GBは、Gmail・Googleドライブ・Googleフォトの3サービスで共有されています。
仕事でGmailを日常的に使っている場合、添付ファイルの蓄積だけで数GBを消費していることもあります。写真のバックアップ先としてGoogleフォトを本格的に使うなら、Google Oneの有料プランが現実的な選択肢になりますが、それはiCloudと同じ「月額課金モデル」です。
クラウドストレージは便利ですが、どのサービスでも大容量の写真・動画を長期保存しようとすると、月額コストは継続的に発生します。「撮れば撮るほどコストが上がる構造」を前提にしたうえで、自分に合った保存先を選ぶ必要があります。
始める前に確認したいこと|自動バックアップ前のチェックリスト
最初に確認したいのは、iPhone内の写真や動画がオリジナルの状態なのか、それとも最適化された状態なのかです。
iCloud写真で「iPhoneのストレージを最適化」を使っていると、本体には軽いデータだけが残り、必要なときに原本を読み込む動きになることがあります。普段使いでは便利ですが、初回バックアップの前提としては見落としやすいポイントです。NASにきちんと残したいのが元の写真や動画なら、先に原本を扱える状態かどうかを確認しておく必要があります。
NAS本体・HDD・ネットワーク環境を用意する
NAS本体だけでなく、使うHDD、ルーター、有線で接続できる環境、そしてiPhoneが同じネットワークに入っていることを確認しておくと、設定中の迷いがかなり減ります。初回同期はデータ量が多くなりやすいため、途中で接続が切れにくい状態を作っておくことが大切です。

Wi-Fi環境で同期する理由を理解しておく
写真だけならすぐ終わりそうに見えても、実際には動画が混ざるだけで転送量はかなり増えます。初回バックアップをモバイル回線まかせにすると、時間もかかりますし、途中で止まりやすくなります。夜間や在宅中など、Wi-Fiが安定している時間帯にまとめて進めるほうが現実的です。
家族共有か、自分専用かを先に決める
NASは1台で複数ユーザーのデータを管理できます。家族全員のiPhoneから写真をバックアップしたい場合、ユーザーアカウントを分けておけば、それぞれの写真が混ざることなく保存されます。
逆に、自分ひとりで使うなら、最初はアカウントを分ける設定は不要です。あとから家族を追加することもできるので、最初の段階では「ひとりで使うか、家族で使うか」の方向性だけ決めておけば十分です。
iPhone写真をNASに自動バックアップする基本手順
UGREEN NASを例に、iPhone写真の自動バックアップを設定する流れを4つのステップで整理しています。
Step 1:NASを電源とルーターに接続する
NAS本体にHDDを取り付けたら、電源ケーブルとLANケーブルを接続します。
LANケーブルは、自宅のルーター(またはスイッチ)の空いているポートに差し込んでください。iPhoneが普段つながっているWi-Fiルーターと同じネットワーク内に接続するのがポイントです。別のネットワークに繋いでしまうと、iPhoneからNASを検出できません。
電源を入れると、NAS本体が起動してHDDの初期化準備に入ります。本体前面のLEDランプが点灯または点滅し始めれば、正常に起動しています。
Step 2:UGREENアプリでNASを見つけて初期設定する
iPhoneにUGREEN NASアプリ(App Storeから無料でダウンロード可能)をインストールし、アプリを起動します。
アプリを開くと、同じネットワーク上にあるNASが自動的に検出されます。表示されたNASをタップすると、初期設定ウィザードが始まります。画面の案内に沿って進めれば、管理者アカウントの作成、HDDのフォーマット、ストレージの構成(RAIDの設定など)が完了します。

初期設定の所要時間はHDDの容量にもよりますが、おおむね10〜15分程度です。
この初期設定の詳しい流れは「UGREEN NAS 初期設定ガイド」でも確認できます。
Step 3:写真バックアップ機能を有効にする
初期設定が終わったら、写真の自動バックアップを設定します。
1. アプリの「アルバムのバックアップ」機能を開く
UGREEN NASアプリのホーム画面から、同期とバックアップの項目を選択します。
2. iPhoneの写真へのアクセスを許可する
初回起動時に、iPhoneの写真ライブラリへのアクセス許可を求められます。「すべての写真へのアクセスを許可」を選んでください。「選択した写真のみ」にすると、新しく撮影した写真が自動バックアップの対象外になる場合があります。
3. バックアップ先フォルダを指定する
NAS上のどのフォルダに写真を保存するかを選びます。デフォルトのままでも問題ありませんが、家族で使う予定がある場合は、ユーザーごとにフォルダを分けておくと後から整理しやすくなります。
4. 自動バックアップをオンにする
自動バックアップのトグルをオンにします。これで、iPhoneがNASと同じWi-Fiに接続されているときに、新しい写真・動画が自動的にNASへ転送されるようになります。
5. 同期条件を確認する
UGREEN NASアプリでは、以下のオプションが用意されています。
- Wi-Fi接続時のみバックアップする:モバイルデータ通信を使いたくない場合はオンにしておきます。基本的にオン推奨です。
6. 初回バックアップが始まる
設定を完了すると、過去に撮影した写真・動画の一括バックアップが始まります。枚数や動画の量によっては数時間かかることもあるため、時間に余裕のあるタイミングで始めてください。バックアップ中にアプリを閉じても、バックグラウンドで転送は継続されます。
Step 4:初回バックアップ完了後に、保存内容を確認する
初回バックアップが終わったら、NASに正しくデータが保存されているか確認します。この確認ステップを省略すると、あとになって「一部の写真が抜けていた」「動画が保存されていなかった」という問題に気づくことがあります。
枚数と日付を確認する
NASアプリ上で、バックアップされた写真の総枚数を確認します。iPhoneの写真ライブラリ画面の上部に表示される件数と比較して、大きなズレがなければ正常です。
ファイル形式を確認する
iPhoneの写真はHEIC形式、動画はMOV形式で保存されることが多いです。NAS上のファイルがこれらの形式で保存されていれば、オリジナル品質でバックアップされていると判断できます。JPEG変換されている場合は、アプリの設定でファイル形式の変換オプションがオンになっていないか確認してください。
実際にファイルを開いて表示を確認する
枚数だけでなく、いくつかの写真・動画を実際に開いて、拡大しても画質が劣化していないか確認します。サムネイルだけ保存されて中身が最適化版だった、というケースを防ぐための最終チェックです。
よくある失敗|iPhone写真の自動バックアップで詰まりやすいポイント
手順どおりに設定しても、初回バックアップや日常の運用でつまずくケースがあります。問い合わせやフォーラムでよく見かけるパターンを5つ整理しました。
バックアップが始まらない
いちばん多いのは、設定したつもりなのに同期が始まらないケースです。
この場合は、まずアプリに写真へのアクセス権を許可しているか、iPhoneとNASが同じネットワークにいるか、自動バックアップがオンになっているかを順番に確認します。
Wi-Fi接続時のみバックアップする設定にしていると、モバイル回線中は待機したままになります。
動画だけ時間がかかる
写真は順調にバックアップされるのに、動画だけ極端に遅い、または途中で止まっているように見えることがあります。
原因はシンプルで、ファイルサイズの差です。4K動画は1分あたり約400MB(HEVC)、ProRes撮影では1分あたり約6GBにもなります。Wi-Fi経由での転送には物理的な時間がかかるため、動画の本数が多いと初回バックアップ全体が長時間化します。
対処としては、初回バックアップは就寝前に開始して一晩かけて完了させるのがもっとも現実的です。翌朝の時点でまだ完了していなければ、転送は中断せずにそのまま継続させてください。NASアプリは中断した位置から再開できるため、途中で止まっても最初からやり直しにはなりません。
Wi-Fiルーターとの距離が遠い、あるいは電波干渉が多い環境では転送速度が落ちることもあります。NASをルーターの近くに有線接続しているか、iPhoneが安定したWi-Fi電波を受信できる位置にあるかも、併せて確認してください。
NASに保存した写真が元画質に見えない
バックアップ完了後にNASアプリ上で写真を見たとき、「元の画質より劣化しているように見える」と感じることがあります。
よくある原因は2つです。
ひとつは、アプリがプレビュー用の軽量画像を表示しているケースです。NASアプリの写真ビューアは、一覧表示の段階ではサムネイルや中間サイズの画像を表示し、フル解像度データを都度ダウンロードしないことがあります。写真をタップして拡大表示したとき、あるいはPC経由でNASに直接アクセスしてファイルを開いたときにフル解像度で表示されるなら、データ自体は正常です。
もうひとつは、バックアップ時にファイル形式や解像度の変換がかかっているケースです。一部のアプリでは、HEICをJPEGに自動変換する設定がデフォルトでオンになっていることがあります。元画質を維持したい場合は、バックアップ設定で「オリジナル形式のまま保存する」オプションが有効になっているか確認してください。
iCloud写真をオフにしていいか迷う
NASへのバックアップが完了すると、「もうiCloud写真はオフにしてもいいのか」という疑問が出てきます。
結論から言うと、すぐにオフにするのはおすすめしません。
iCloud写真をオフにする操作には「iPhoneから写真を削除する」オプションが含まれる場合があります。NASへのバックアップが確実に完了していることを確認しないまま実行すると、写真の唯一のコピーを失うリスクがあります。
安全な手順としては、まずNAS上のバックアップが完全かつ正常であることを確認し、可能であれば外付けHDDやPCなどにもう1か所コピーを取ったうえで、iCloud写真をオフにする流れが堅実です。「NASに入っているから大丈夫」と思っても、NAS側のHDD故障や操作ミスの可能性はゼロではないため、重要な写真ほど複数の保存先に残しておく考え方が安心です。
iCloudの有料プランを解約して月額コストを削減したい場合も、同じ手順を踏んでください。まずNAS+別の保存先にバックアップを確認してから、iCloudのストレージプランをダウングレードする順番です。
RAID 1 があっても安心しきれない理由|バックアップと保存は別で考える
NASの初期設定で「RAID 1(ミラーリング)」を選ぶと、2本のHDDに同じデータが書き込まれます。片方のHDDが故障しても、もう片方にデータが残る仕組みです。
2ベイNASを写真保存に使う場合、RAID 1を選ぶ方は多いですし、判断としては妥当です。ただ、RAID 1があるから写真は安全、と考えてしまうと、カバーできないリスクが残ります。
RAID 1 が守れるのは、主にドライブ故障
RAID 1の役割は明確で、HDDの物理的な故障に対する冗長性です。1本のHDDが壊れても、もう1本に同じデータがあるため、NASは動き続けます。故障したHDDを交換すれば、データは自動的に再構築されます。
裏を返すと、RAID 1が対応しているのはこのシナリオだけです。「ドライブが壊れてもデータが消えない」ための仕組みであって、「どんな原因のデータ消失も防ぐ」ための仕組みではありません。
誤削除や上書きには対応できない
NAS上で写真を誤って削除した場合、RAID 1はその削除操作を両方のHDDに同時に反映します。ミラーリングとは「片方のHDDの状態をもう片方にリアルタイムで複製する仕組み」なので、削除もそのまま複製されます。
ファイルの上書きも同様です。編集ソフトで写真を加工して上書き保存した場合、元のファイルはRAID 1では復元できません。ランサムウェアのようにファイルを暗号化する攻撃を受けた場合も、暗号化された状態が両方のHDDに反映されるだけです。
RAID 1は「ドライブの冗長化」であって、「データのバックアップ」とは役割が異なります。
大切な写真は「保存先」と「バックアップ先」を分けて考える
写真を長期的に守るには、保存先(普段データを置いておく場所)とバックアップ先(保存先が壊れた・消えた場合の復元元)を別々に持つ考え方が基本です。
たとえば、NASを写真の保存先として日常的に使いつつ、バックアップ先として外付けHDDに定期的にコピーを取る運用です。NASの機種によっては、USBポートに外付けHDDを接続して、スケジュールを設定すれば自動でバックアップを実行する機能も備わっています。
まとめ|iCloud容量不足をきっかけに、写真の保存先を見直すなら
iCloudの容量不足は、iPhoneで写真や動画を日常的に撮る人なら遅かれ早かれ直面する問題です。有料プランへのアップグレードでその都度しのぐこともできますが、月額コストは写真が増えるほど積み上がっていきます。こうした状況なら、NASへの移行を検討する価値があります。
写真・動画のバックアップ用途であれば、2ベイモデルから始めるのが導入しやすい選択です。
UGREEN NASのラインナップでは、DH2300が「初めてのNAS」に向いています。アプリひとつでiPhoneからの写真バックアップを設定でき、最大64TBまでのストレージに対応します。月額料金は不要で、スマートフォンの写真や動画をまとめて保存・管理する用途に特化したモデルです。
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写真だけでなく、2.5GbE対応の高速転送やM.2 SSDキャッシュ、HDMI経由での4Kメディア再生も視野に入れたい場合は、DXP2800が選択肢に入ります。最大80TBまで対応し、家庭内での写真・動画体験をより幅広くカバーできるモデルです。
