動画編集向けNASの選び方|4K編集に必要な速度・容量・RAIDを解説
プロキシを使った1人での4K編集なら2.5GbEでも対応できますが、高ビットレートのProResやRAW、マルチカム、複数人での同時編集では10GbEが適しています。容量と拡張性を考えると、動画編集用NASは4ベイ以上が基本です。

キーポイント
- 必要なネットワーク速度は、解像度ではなくビットレートと同時ストリーム数から計算する
- 1人でのプロキシ編集は2.5GbE、高ビットレート素材や複数人での編集は10GbEが目安
- 4ベイは個人編集者、6ベイ以上は複数編集者や長期保管に向いている
- HDDは素材と完成案件、NVMeはアクティブな案件、編集PCの内蔵SSDはメディアキャッシュに使う
- RAID 5・6・10は、容量・性能・耐障害性のどれを優先するかで選ぶ
- UGREEN NASは、DXP4800 Plus・DXP4800 GT・DXP480T Plus・DXP6800 Proから編集環境に合わせて選択する
動画編集向けNASを選ぶ6つの基準
動画編集向けNASを選ぶときは、次の6項目を順番に確認します。
| 選定項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| ネットワーク | 素材のビットレート、同時ストリーム数、編集者数 |
| ベイ数 | 必要容量、RAID構成、将来の拡張 |
| ドライブ | HDD、NVMe、オールフラッシュの使い分け |
| RAID | 有効容量、書き込み性能、耐障害性 |
| CPU・RAM | 同時アクセスとNAS上で実行する処理 |
| 接続方法 | 2.5GbE、10GbE、Thunderbolt |
NAS本体やドライブが高速でも、編集PCまでのネットワークが遅ければ、NAS上の素材を快適に編集できません。
素材から必要なネットワーク速度を決める
同じ4Kでも、H.265とProRes 422 HQでは必要な帯域と編集PCへの負荷が異なります。
必要帯域は、次の式で概算できます。
必要帯域の目安=素材のビットレート÷8×同時ストリーム数×同時編集者数×1.3〜1.5
計算例
800Mbpsの素材を3ストリーム同時に使用する場合は、次のように計算します。
800Mbps÷8×3ストリーム×1.3=約390MB/s
この場合、2.5GbEの実効帯域では不足するため、10GbE環境が必要です。
2.5GbE・10GbEの違い
速度は、NAS、ドライブ台数、RAID、編集PC、NIC、スイッチ、ケーブル、SMB設定によって変わります。
| ネットワーク | 実効速度の目安 | 向いている編集環境 |
|---|---|---|
| 2.5GbE | 約250〜280MB/s | 1人での4K LongGOP編集、高品質プロキシ、軽量な中間コーデック |
| 10GbE | 約800〜1,100MB/s | 高ビットレート4K、ProRes、RAW、マルチカム、複数編集者 |
H.264やH.265などのLongGOP素材は、必要帯域が小さくてもデコード負荷が高い形式です。素材を編集PCの内蔵SSDへコピーしても再生が止まる場合は、NASではなくCPU、GPU、メモリ、ハードウェアデコード対応がボトルネックになっている可能性があります。

10GbEは経路全体で対応させる
NASに10GbEポートがあっても、編集PCやスイッチが1GbEであれば、10GbEの速度は利用できません。
購入前に、次の機器を確認します。
- NAS側の10GbEポート
- 編集PC側の10GbEポートまたは10GbEアダプター
- 10GbE対応スイッチ
- 10GBASE-Tの場合はCat6Aケーブル
- SFP+の場合は対応トランシーバー、光ケーブルまたはDACケーブル
1台の編集PCだけで使用する場合は、NASとPCを10GbEで直接接続できる構成もあります。複数台の編集PCで共有する場合は、各編集席の回線速度に加えて、NAS側の合計帯域を確認してください。
SMBマルチチャネルを利用する場合は、NASと編集PCの両方が対応し、複数の独立したネットワーク経路が必要です。LANケーブルを複数接続しただけで、すべての通信が自動的に高速化するわけではありません。
必要容量とベイ数を決める
動画編集用NASの容量は、現在持っている素材だけでなく、今後増える案件と保存期間を含めて計算します。
基本的な考え方は次のとおりです。
1案件の必要容量×同時進行する案件数×保存期間+空き容量
撮影素材だけでなく、音声、画像、プロキシ、プレビュー、書き出しファイル、修正版、過去案件も含めてください。
RAIDを使用すると、搭載したドライブ容量の合計をすべてデータ保存に使えるわけではありません。
2ベイ・4ベイ・6ベイの選び方
| ベイ数 | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| 2ベイ | 小規模な素材保管、RAID 1、プロキシ中心の個人編集 | 容量とRAID構成の選択肢が限られる |
| 4ベイ | 1人での4K本編集、少人数共有、RAID 5・6・10 | 動画編集用NASの標準的な構成 |
| 6ベイ以上 | 複数編集者、高ビットレート素材、長期保管 | 容量・性能・耐障害性を両立しやすい |
4ベイは、容量、価格、性能、設置性のバランスが取りやすく、個人の動画編集者に適しています。
6ベイ以上は、HDD台数によって連続読み書き性能を確保しやすく、RAID 6を使用しても有効容量を残しやすいため、制作チームや長期アーカイブに向いています。
RAID適用後の有効容量は、NAS容量とRAIDの計算ガイドで具体的に計算できます。
HDD・NVMe・オールフラッシュを選ぶ
動画編集用NASでは、HDDとNVMeを同じ目的で考えてはいけません。
| ストレージ | 主な用途 |
|---|---|
| HDDストレージプール | 撮影素材、完成ファイル、過去案件の大容量保存 |
| NVMeストレージプール | 現在編集中の案件、高速アクセスが必要な共有素材 |
| NVMeキャッシュ | 繰り返し参照するデータや小さなファイルへのアクセス補助 |
| オールフラッシュ | 速度、低遅延、静音性を優先するアクティブ編集領域 |
HDDは容量と台数で性能を確保する
動画素材は大容量の連続読み書きが中心です。そのため、複数台のHDDでRAIDを構成することで、容量と連続転送性能を確保できます。
使用するHDDは、連続稼働とRAID運用を想定したCMR方式のNAS用HDDが基本です。SMR方式のHDDは、継続的な書き込みやRAID再構築で性能が低下する可能性があるため避けてください。
具体的な選定基準は、NAS用HDDの選び方で解説しています。
NVMeキャッシュだけで編集速度が上がるとは限らない
大容量動画の連続読み込みでは、NVMeキャッシュを追加しても大幅な高速化につながらない場合があります。
- NASから編集PCまでのネットワーク速度
- HDDアレイの連続読み書き性能
- 編集PC側のメディアキャッシュ保存先
現在編集中の案件を高速化したい場合は、NVMeをキャッシュとして使うだけでなく、アクティブ案件用のストレージプールとして使用する方法もあります。
オールフラッシュが向いている環境
オールフラッシュNASは、次のような用途に向いています。
- 高ビットレート素材を直接編集する
- マルチカム編集を行う
- 多数の素材を素早くブラウズする
- スクラブ操作の遅延を減らしたい
- デスク付近へ設置するため静音性を重視する
- アクティブな案件と長期保管を別のNASへ分ける
過去案件を数十TB単位で保存する場合は、HDD搭載NASの方が容量単価を抑えられます。
動画編集に適したRAIDを選ぶ
動画編集では、主にRAID 5・RAID 6・RAID 10が候補になります。
| RAID | 必要ドライブ数 | 特徴 | 向いている環境 |
|---|---|---|---|
| RAID 5 | 3台以上 | 有効容量を確保しやすく、1台故障まで耐えられる | 4ベイで容量と性能を優先する個人編集者 |
| RAID 6 | 4台以上 | 2台故障まで耐えられるが、容量と書き込み性能が減る | 大容量ドライブ、長期保管、6ベイ以上 |
| RAID 10 | 4台以上 | 容量は半分になるが、性能と再構築面で有利 | 容量効率より編集性能と復旧性を優先する環境 |
4ベイ構成でRAID 6を使うと、有効容量はドライブ2台分になります。容量効率を重視する場合はRAID 5、2台故障への耐性を優先する場合はRAID 6、性能と再構築性を優先する場合はRAID 10が候補です。
RAID 0は速度と容量を最大化できますが、1台のドライブが故障するとアレイ全体のデータを失います。案件データの唯一の保存先には使用せず、別の場所にコピーがある一時的な作業領域に限定してください。
RAIDの耐障害性とバックアップとの違いは、NASのRAID構成と冗長性で確認できます。
CPUとRAMは同時処理から選ぶ
CPUとRAMの重要性が高くなるのは、次の処理を同時に実行する場合です。
- 複数編集者からの同時アクセス
- 暗号化されたファイル転送
- 自動バックアップ
- スナップショット
- サムネイル生成
- メディアストリーミング
- Dockerや仮想マシン
- NAS上でのメディア変換
1人で素材を直接編集する環境では、8GB RAMを出発点にできます。複数人での利用や追加アプリを同時実行する場合は、RAMを増設できるモデルを選ぶと構成を拡張しやすくなります。
編集環境別の推奨構成
| 編集環境 | ネットワーク | ストレージ構成 | RAID候補 | UGREEN NAS候補 |
|---|---|---|---|---|
| 1人・4Kプロキシ編集 | 2.5GbE | HDD中心 | RAID 5 | DXP4800 Plus |
| 1人・4K本編集 | 10GbE | HDD+NVMe | RAID 5/10 | DXP4800 Plus、DXP4800 GT |
| 速度最優先の編集 | 10GbE/Thunderbolt | オールフラッシュ | RAID 5/10 | DXP480T Plus |
| 複数編集者 | 10GbE以上 | 6ベイHDD+NVMe | RAID 6/10 | DXP6800 Pro |
| 大容量の長期保管 | 10GbE | 6ベイ以上のHDD | RAID 6 | DXP6800 Pro |
動画編集向けUGREEN NASを比較
UGREEN NASync DXP4800 Plus:個人編集者の標準構成
UGREEN NASync DXP4800 Plusは、4つのSATAドライブベイ、2つのM.2 SSDスロット、10GbEと2.5GbEのLANポートを搭載しています。
{{UGPRODUCT}}
HDDへ大量の素材を保存しながら、10GbE経由で4K素材を直接編集したい個人クリエイターに適しています。
向いている用途:
- 1人での4K編集
- プロキシとオリジナル素材の一元管理
- HDDによる大容量保管
- NVMeを使ったアクティブ案件領域
- RAID 5・6・10からの選択
UGREEN NASync DXP4800 GT:4K本編集と少人数チーム
UGREEN NASync DXP4800 GTは、4つのSATAドライブベイ、2つのM.2 SSDスロット、デュアル10GbEを搭載しています。
{{UGPRODUCT}}
HDDの容量と高速ネットワークを両立しやすく、1人での高ビットレート編集から少人数チームでの素材共有まで対応できます。
向いている用途:
- 高ビットレート4K素材
- ProResやRAWの直接編集
- 少人数での同時アクセス
- デュアル10GbEを活用したネットワーク構成
- HDDとNVMeの役割分担
DXP4800 Plusとの主な違いは、デュアル10GbEとCPU構成です。複数の編集PCから同時にアクセスする場合や、ネットワーク帯域に余裕を持たせたい場合はDXP4800 GTが候補になります。
UGREEN NASync DXP480T Plus:オールフラッシュで速度を優先
UGREEN NASync DXP480T Plusは、4つのM.2 NVMeスロット、10GbE、2つのThunderbolt 4ポートを備えたオールフラッシュモデルです。
HDD搭載モデルより容量単価は高くなりますが、低遅延と高速な読み書きを重視するアクティブ編集領域に向いています。
向いている用途:
- マルチカム編集
- 高ビットレート素材
- 多数のファイルを頻繁に参照する案件
- Thunderbolt接続を使った1人での編集
- 静音性を重視するデスクトップ環境
過去案件の長期保管よりも、現在編集中の案件を高速に扱うためのモデルです。大容量のアーカイブが必要な場合は、HDD搭載NASとの役割分担が適しています。
UGREEN NASync DXP6800 Pro:複数編集者と長期保管
UGREEN NASync DXP6800 Proは、6つのSATAドライブベイ、2つのM.2 SSDスロット、デュアル10GbE、Thunderbolt 4を搭載しています。
4ベイ機よりドライブ台数が多いため、容量、RAID、連続読み書き性能の設計自由度が高く、複数編集者や長期アーカイブに向いています。
向いている用途:
- 複数編集者からの同時アクセス
- 4Kマルチカム
- 高ビットレート素材の共有
- RAID 6を使った大容量保管
- アクティブ案件と過去案件の一元管理
Thunderboltを使った接続方法は、DXP6800 ProのThunderbolt 4接続ガイドで解説しています。
購入前の最終チェックリスト
NAS本体だけでなく、編集環境全体を確認してください。
- 素材のビットレートを確認したか
- 同時ストリーム数を計算したか
- 同時に使用する編集者数を含めたか
- PC側のLANポートは必要速度に対応しているか
- スイッチとケーブルを含めて10GbE化できるか
- RAID適用後の有効容量を計算したか
- 将来の容量増加に対応できるベイ数か
- 使用するHDDやSSDはNASに適しているか
- NASとは別にバックアップ先を用意できるか
- 編集ソフトの共有ストレージ要件を確認したか
ベンチマークでは、大容量ファイルの転送速度だけで判断しないことも重要です。実際の素材を編集ソフトへ読み込み、タイムライン再生、スクラブ、マルチカム、同時アクセス時の動作を確認してください。
転送速度が想定より遅い場合は、UGREEN NASが遅いときの確認方法に沿って、NAS、ドライブ、PC、NIC、スイッチ、ケーブル、SMB設定を順番に切り分けます。
よくある質問
4K動画編集には2.5GbEと10GbEのどちらが必要ですか?
1人でプロキシや低ビットレートのLongGOP素材を編集する場合は、2.5GbEでも対応できることがあります。
高ビットレートのProResやRAW、マルチカム、複数人での同時利用には10GbEが適しています。解像度だけでは判断せず、ビットレートと同時ストリーム数から必要帯域を計算してください。
動画編集用NASは4ベイと6ベイのどちらが適していますか?
1人での4K編集や少人数共有であれば、4ベイが容量、価格、性能のバランスを取りやすい構成です。
複数人で編集する、大容量素材を長期保存する、RAID 6を使いながら有効容量を確保したい場合は、6ベイ以上が適しています。
HDDだけで10GbEを活用できますか?
複数台のHDDでRAIDを構成すれば、単体HDDより高い連続読み書き性能を得られます。ただし、ドライブの性能、台数、RAIDレベルによっては10GbEの帯域をすべて使い切れない場合があります。
10GbEポートの有無だけで判断せず、ストレージプールの実効性能も確認してください。
動画編集にはSSDキャッシュが必要ですか?
必須ではありません。大容量動画の連続読み込みでは、ネットワークとHDDアレイの性能が先にボトルネックになることがあります。
現在編集中の案件を高速化したい場合は、SSDキャッシュだけでなく、NVMeストレージプールやオールフラッシュ構成も比較してください。
DXP4800 GTとDXP480T Plusはどう違いますか?
DXP4800 GTはHDDによる大容量保存とデュアル10GbEを重視したモデルです。大量の素材を保管しながら、1人または少人数で編集する環境に向いています。
DXP480T Plusは4つのNVMeを使用するオールフラッシュモデルです。保存容量単価よりも、低遅延、高速アクセス、静音性を優先する編集環境に向いています。
Wi-Fi経由でNAS上の動画を直接編集できますか?
プロキシや低ビットレート素材では利用できる場合がありますが、本編集の基本は有線接続です。
Wi-Fiは距離、壁、干渉、接続台数によって速度と遅延が変動します。安定したタイムライン再生が必要な場合は、2.5GbEまたは10GbEを使用してください。
まとめ
動画編集向けNASは、最初に素材のビットレート、同時ストリーム数、編集者数から必要帯域を計算します。次に、案件容量と保存期間から必要なベイ数を決め、容量・性能・耐障害性の優先順位に応じてRAIDを選択します。
- 1人での4K編集ならDXP4800 Plus
- 高ビットレート編集や少人数共有ならDXP4800 GT
- オールフラッシュの速度を優先するならDXP480T Plus
- 複数編集者と大容量保管ならDXP6800 Pro
